メタ認知とは、自身の認知状況を把握する能力を指し、自己判断の正誤に対して,どのくらい自覚的であるかということを意味する。本研究では、同一の健常者に対し、視覚刺激の検出と刺激属性の弁別という2種の行動課題を行い、確信度評定を用いて視知覚系におけるメタ認知を評価した。その結果、検出課題では近最適値を示すメタ認知感受性が、弁別課題において特異的に低下することが判明した。このことは、弁別系では、相対的に、判別成績に利用した情報を正確に把握することができずに、減衰した情報が主観評定に反映されていることを意味する。一方で、両者の指標の関係性を個人毎にプロットすると、相関を認めなかった。これまでに、知覚や記憶といったドメイン特異的なメタ認知処理が示されつつあるが、本知見は、同一のドメイン内にも、課題特異的なメタ認知過程が存在することを示唆している。
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