研究課題/領域番号 |
17H00744
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥富 正敏 東京工業大学, 工学院, 教授 (00262303)
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研究分担者 |
岡部 孝弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00396904)
鳥居 秋彦 東京工業大学, 工学院, 助教 (20585179)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,異なる時刻・視点で撮影された画像から,カメラ・物体の3次元幾何情報とともに,撮影時の光源分布と物体の表面反射率の推定を行うMulti-View Inverse Rendering(MVIR)を格段に発展させることにある.H30年度は,プロジェクト2年目のテーマとして主に「スケーラブルMVIR」,「フォト・ジオメトリックバンドル調整」に関する研究を行った.また,「光源モデルの拡張」に関しても研究を開始した. 「スケーラブルMVIR」では,従来のMVIRで課題となっていたスケーラビリティ・計算効率の問題に対して取り組み,従来のMVIRと同等の精度を保ちつつ計算速度を向上させるアルゴリズムを開発した.H29年度に開発したアルゴリズムに改良を加え,新しいサーフェス平滑化拘束を導入することで,よりロバストかつ高精度に復元が可能なアルゴリズムを開発した.得られた成果はまとまり次第,論文投稿予定である. 「フォト・ジオメトリックバンドル調整」では,従来のMVIRでは既知としていたカメラ位置と向きの推定を含めたアルゴリズム・コスト関数を設計した.さらに,後述する近接光源モデルを想定した場合に,光源位置も同時に推定するアルゴリズムを開発し,実験的にその有効性を確認した.得られた成果は,国際会議に論文投稿中である. 「光源モデルの拡張」では,プロジェクタを活用した近接光源モデルに基づくアルゴリズム・コスト関数を設計した.プロジェクタによる構造化照明投影とMVIRの枠組みを融合することで,より高精細な復元を行えるシステムを開発した.開発したシステムは高く評価され,画像センシングシンポジウム(SSII2018)での受賞に至っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究プロジェクト2年目として,主に3つのテーマについて研究を進めた.「スケーラブルMVIR」については性能評価の段階にあり,成果がまとまり次第,論文を投稿予定である.「フォト・ジオメトリックバンドル調整」「光源モデルの拡張」に関しては,一部の成果を国際会議・国内会議で発表している.特にプロジェクタを活用したシステムはその有用性を高く評価されており,国内会議での受賞に至っている.研究に必要な計算機や撮影環境等の整備も順調に進み,研究はおおむね順調に進んでいると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画通り「光源モデルの拡張」「反射率モデルの拡張」の研究を中心に取り組む.「光源モデルの拡張」は,H30年度の研究で得られた成果をベースとして,RGBモデルから分光スペクトルモデルへの拡張を行うことで,より忠実な光源モデルの実現を目指す.「反射率モデルの拡張」は,現在のRGB完全拡散反射モデルを発展させ,分光反射率モデルや鏡面・相互反射を考慮したモデルへの拡張を行うことで,復元対象の光学的性質をより忠実に表現可能な反射率モデルの実現を目指す.
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