研究課題/領域番号 |
17H00750
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
掛谷 英紀 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70334050)
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研究分担者 |
大城 幸雄 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10535008)
岡田 俊之 筑波大学, 医学医療系, 助教 (90733650)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 3次元画像工学 |
研究実績の概要 |
(1) 肝臓手術シミュレータliversimをフルハイビジョンの解像度で裸眼立体表示できるシステムを開発した。従来はサイドバイサイド方式で映像を入力していたため、ディスプレイはフルハイビジョンの解像度を提示する能力があるものの、コンテンツは半分の解像度であった。そこで左右両眼用の画像をフルハイビジョン2チャンネルで入力できるシステムを作成し、フルハイビジョンの立体表示を可能にした。同システムにliversimを実装し、医学生から評価を受け、その有効性を確認した。 (2) フルハイビジョン超多眼式裸眼立体ディスプレイの製作を行った。サブピクセル構造を利用した時分割アナグリフパララックスバリアに基づく6時分割表示と3色に異なる方向の光線を割り当てることで、18視点分の映像提示を可能にした。それを左右の眼それぞれに9視点分ずつの画像を振り分け、超多眼フルハイビジョン裸眼立体表示が可能になることを確認した。 (3) 高速モーショントラッキングシステムOptitrakを用いて、運動視差提示におけるレイテンシー低減の効果を確認した。頭部移動時にクロストークは低減するものの、立体像が空中に定位しているように感じさせるにはまだ不十分な状態である。 (4) 腹腔鏡手術を想定し、拡大表示立体映像を用いた微細作業における適切な視差提示方法の調査を行った。腹腔鏡手術トレーニング用のドライボックスを使い、カメラ間の距離を変化させながら手術トレーニングを行わせることで、作業効率が高くなる視差条件を調べた結果、従来の腹腔鏡用3Dカメラよりは大きな視差を持たせることで作業効率が向上することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に挙げたものは全て実施し、ほぼ予定通りの成果を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は次の課題に取り組む。 (1) これまで開発したフルハイビジョン超多眼式ディスプレイについて、視域の拡大や描画速度の向上等の改善を試みる。また、各種コンテンツを提示し、従来の裸眼立体表示との比較を行い、焦点調節の奥行き感を再現することの有用性を検証する。 (2) 複数人が同時に裸眼立体視が可能なシステムのプロトタイプを製作し、医療用途での有用性を評価する。当研究グループが過去製作した複数人用裸眼立体表示システムは、観察者が実質2人までで、クロストークが大きく十分が画質が得られていなかった。今後はその従来装置の問題点を解消する新たなシステムの製作に取り組む。 (3) ディープラーニングを用いた臓器の自動抽出システムの開発を行う。従来、裸眼立体表示を用いた手術シミュレーションシステムに表示させる臓器モデルは、手動でのチューニングが必要で制作に長時間の作業を要した。この問題を解決するため、臓器の自動抽出システムの精度向上をはかる。その手法としては、ディープラーニングを応用する。ディープラーニングに従来の確率アトラスの情報や、機械学習に転移学習を応用するなどの工夫を取り入れることにより、自動でも実用に耐えうるレベルの臓器モデルが制作できるようにすることを目指す。
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