研究課題/領域番号 |
17H00761
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20380678)
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研究分担者 |
船木 由喜彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50181433)
神取 道宏 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10242132)
田村 明久 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (50217189)
岩崎 敦 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30380679)
安田 洋祐 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (70463966)
櫻井 祐子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10396137)
東藤 大樹 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (50708394)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マーケットデザイン / オークション / マッチング / 繰返しゲーム |
研究実績の概要 |
平成29年度は主に,(a) TTCメカニズムの一般化,(b) 一般化受入保留メカニズムの代替メカニズムの提案,(c) 繰返しオークションにおける協調行動の解析,および (d) 均衡解析プログラムの拡張の4つの課題に関して研究を推進した.本年度の成果は,招待講演3件,論文出版10件,国際会議発表19件,および国際共同研究2件に上る. 課題 (a) では,TTC の拡張に成功し,初期保有がある環境において下限制約を満足するマッチングメカニズムを提案した.提案メカニズムは耐戦略性とパレート効率性を厳密な意味で満足する一方で,既存のメカニズムの単純な拡張と比較すると,期待値的により公平なマッチングを保証する.本研究成果は,人工知能分野で最も権威ある論文誌である Artificial Intelligence より出版されている.また,国際共同研究として複数の初期保有があるケースへのTTCの拡張を行い,その成果が国際論文誌 Journal of Artificial Intelligence Research に採択されている. 課題 (b) では,割当数の比率に関する制約を新たに考案し,一般化受入保留メカニズムを拡張することによって,この制約の下で公平なマッチングを保証するメカニズムを設計した.本研究成果は,エージェント分野で最も権威ある国際会議であるAAMAS-2018にて報告予定である.さらに,割当制約の一般化についても,計画を前倒して検討を開始しており,既にいくつかの成果を得ている. 課題 (c) および (d) では,均衡検証プログラムを,他者の行動の(不完全な)観測の構造がサイクルを構成するケースに対して拡張し,新たな均衡戦略の発見に成功した.本研究成果は国際ワークショップ AGT-2017 にて報告し,フィードバックを経て現在英文論文誌への投稿を準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各研究課題について,計画した内容を順調に達成できた.また,課題 (a) では副次的な成果として,TTC の異なる拡張に成功し,その成果が人工知能分野の一流論文誌である JAIR に採択されるなど,計画以上に進展している.さらに課題 (b) では,予想以上に順調に研究が進んだことから,計画を前倒しし,平成30年度に予定していた研究を既に開始している.特に,割当制約の一般化について,既にいくつかの結果を得ており,こちらも計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,平成29年度の研究成果を拡張・一般化するとともに,割当制約の一般化(担当:マッチング理論班・検証班),三角取引の均衡解析(担当:設計班・オークション理論班),離散構造上の社会選択(担当:設計班・検証班・マッチング理論班)の3つの研究項目に取り組む.設計したメカニズムは,アルゴリズムとして定式化し,ソースコードを公開する.得られた研究成果は,学術論文として,計算機科学・経済学分野の論文誌や,AAMAS/AAAI/IJCAI などの国際会議録より出版し,関連研究コミュニティに発信する.メカニズムの設計が計画どおりに進まない場合には,既存の様々なメカニズムの評価を重点的に行う.特に,検証班を中心とする被験者実験によって,現行の制度と既存のメカニズムにおける人間の振舞いの違いを洗い出し,ゲーム理論の均衡概念の実問題・各事例における信頼性を詳細に議論する.また,既存メカニズムの実行時間を計算複雑性の理論に基づいて明らかにし,大規模な問題への適用を可能にする近似アルゴリズムの提案を行う.
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