研究課題/領域番号 |
17H00763
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
井上 克巳 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (10252321)
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研究分担者 |
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20273873)
沖本 天太 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (10632432)
Nicolas Schwind 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (60646397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 推論 / 機械学習 / 知識表現 / 関係学習 / 表現学習 / 状態遷移 / 制約最適化 |
研究実績の概要 |
本研究では、時間的に変化する系の関係ダイナミクスを状態遷移列の観測から学習するために、(1)関係ダイナミクス学習理論の構築、(2)スケーラブルな関係ダイナミクス学習方式の開発、(3)ダイナミック環境におけるチャレンジ問題への適用、のサブテーマを設定している。平成30年度は前年度の研究成果を基に、各サブテーマの成果を相互に適用・フィードバックさせながら研究を進めた。 (1)関係ダイナミクス学習のために提案している「解釈遷移からの学習(LFIT)」の枠組みを発展させ、同期式・非同期式・一般化方式の各更新方式による遷移規則学習を同じ枠組みで扱えるようにした。また議論やディベートのように動的に主張が展開される場面において、ある論拠がなぜ正しいと考えられるのかをアブダクティブに説明する枠組を導入し、論理プログラムを使って計算する方法を示した。 (2)論理計算に基づく学習とニューラルネットワークを用いた学習の2種類のLFIT学習方式のうち、前者で代数演算への変換に基づく計算方式を検討し、後者で遅延を扱うためにリカレントニューラルネットワークを適用した。また論理プログラムの線形代数計算において部分計算の手法を導入し評価実験を行った。 (3)関係ダイナミクス学習の応用として、生体ネットワーク学習、行動規則学習、チーム形成問題・提携構造形成問題(CSG)・信念翻意ゲーム(BRG)における学習に取り組むとともに、ダイナミック環境で問題が変化した際にレジリエンスを担保できる枠組みについて検討した。具体的には、ナース・スケジューリング問題に対してレジリエンスの解概念を導入し、時間割問題やスポーツ・スケジューリングの解法にも取り組んだ。さらに信念翻意が起こった前後状態を入力とし、どのような情報が新たにもたらされたために翻意が起きたかを推定する方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は順調に進展しており、当初の計画以上に研究の幅を拡大している。(1)「関係ダイナミクス学習理論の構築」では、これまで開発してきたLFITに対する機能拡充を一通り施している。 (2)「スケーラブルな関係ダイナミクス学習方式の開発」においては、線形代数手法とニューラルネットワーク手法のいずれも経験を積んでいる段階である。(3)「ダイナミック環境におけるチャレンジ問題への適用」は、これまでに最も研究が進んでいると言ってもよい。ダイナミック環境に関係するレジリエントなシステムの設計と応用についても多くの課題を解決しつつある。こうした取り組みにより、今年度は18件の新たな論文成果を発表するとともに次年度以降に結実する研究結果もいくつか整備している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は3つのサブテーマの相互作用をより活発にし、理論の実装、現実問題への応用、新たな課題の設定、というフィードバックを繰り返しながら関係ダイナミクスの学習理論を構築整備していく。これらの研究をより一般化すると、知識表現・推論技術と機械学習技術の融合という大きなテーマとなる。最近のAIは機械学習よりのものが多いが、シンボリックな知識表現をどのように得るか、また推論技術と学習技術をどのように組み合わせるかという点は今後の課題である。本研究を発展させることで、例えばノイズがある現実世界の環境から表現学習によって記号化された知識を得ることができ、その上での推論結果を意思決定・問題解決・質問応答に適用することができる。こうしたAIシステムはダイナミック系に置かれることから、レジリエントなAIとしての要件を満たす必要がある。本研究を推進することで、こうした次のAI研究テーマに対してアプローチすることも可能となる。
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備考 |
井上研究室ホームページ http://research.nii.ac.jp/il/
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