研究課題/領域番号 |
17H00773
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
後藤 真 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90507138)
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研究分担者 |
岡田 義広 九州大学, 附属図書館, 教授 (70250488)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
高田 良宏 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (30251911)
関野 樹 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (70353448)
山田 太造 東京大学, 史料編さん所, 助教 (70413937)
内田 順子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60321543)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人文情報学 / Linked Data / 総合資料学 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、資料情報の基礎的な研究としては、標準的データと手法のギャップが少ないものから検討を開始し、最初のモデルを作り上げることとした。延喜式についてはTEI化を進め、日本における歴史資料の特徴を分析することで、国際標準との関係の妥当性を検討した。TEIについては、すでにTEIを活用した経済史料分析を行った東京大学・大学院生の小風尚樹氏との共同研究とし、TEIカンファレンス2017(カナダ・ビクトリアにて予定)での発表投稿を行った。結果的に、数量に関する日本資料のTEIタグの提言へと繋げることができた。 IIIFでは歴民カードと実験的に他機関のデータである東寺百合文書のデータ連携を行った。これらのデータ化を行い、異なるデータとの連携によってどのように資料が見えるのかなどを確認を行った。 RDFについては、館蔵資料と歴民カードのリンクから開始し、情報のリンクやLinked Dataの実装を可能にした。情報基盤については館蔵資料目録のRDF版をオープンデータとして公開できるようにすると同時に、RDF化した際のリンク実装などの課題を洗い出した。とりわけ、Linked Dataはデータが増えれば増えるほどグラフが複雑になるので、その実装がどのように可能かを検討した。 データの持続性についての検討は、Digital Preservationの専門国際会議であるiPresを連携研究者および研究分担者(関野・山田)とともに平成29年度に日本(京都)にて実施した。(後藤は副代表であった)。iPres2017を議論の最初の出発点と位置づけ、これらの国際標準でかつ日本資料特有の仕組みにどのように適用可能かの検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体としては、順調に進展している。RDFデータは当初の予定通りに、システムを組み上げ、関係する資料をリンクで繋げることができ、今後の課題を検討する体制を整えた。IIIF,TEIといった画像・目録も実験が可能となるとともに、国際的な報告を実施するなど広く成果発信を行うことができている。IIIFのデータ化については、当初の予定と異なる部分があるが、IIIFの技術的進展や仕様の状況の見極めなどに費やした部分もあるため、この部分が解決すれば、その後は順調に進むものであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降については、国際標準によるあてはめの課題から、資料そのものの特徴分析や日本前近代資料の特徴へとの可能性を拓きつつ検討を行う。デジタルデータのしくみと実際の方法論の差異といった、「そもそもうまくいかない点」にこそ、資料分析の本質があると考え、情報基盤から資料の本質分析へとつなげる。あわせて、文化財科学などの自然科学的な分析と、古文書の分析のような方法論の異なる分析を、情報基盤でつなぎ合わせることで、歴史資料の情報を効果的に導き出せるのか検討を進める。あわせて、研究チームによる「機関を超えた情報提供」を可能にする研究を行う。複数機関における、複数のサーバにこれまで蓄積されたデータを「一体的なモノ」として効果的に表現できるのかなどを確認する。IIIFでもUniversal Viewerには、すでに3Dデータを読み込むための機能も実装されつつある。国際標準規格上の機能についても、歴史教材等での活用を介し、より実践で使える機能構築を行い、IIIFコミュニティに開発の提案を行う。
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