研究課題
2021年4月に海洋研究開発機構研究船「新青丸」航海を主導して、海氷融解直後の南部オホーツク海の春季ブルームの集中観測を実施した。アムール川由来の淡水や春季の海氷融解水を介して陸の影響を強く受けている東サハリン海流(ESC)が、南部オホーツク海の春季植物プランクトンブルームに果たす役割を明らかにするためのデータを集め解析を実施した。その結果、観測域周辺の酸素同位体比のデータから、海氷融解水は海水の1.0から3.6%(平均2.2%)を占めていたと見積もられた。また、南部オホーツク海の大規模春季ブルームは、表層混合層がESC水と海氷融解水の混合により形成される表層水塊で起こっていることが確認された。また最終年度のため本研究で得られた知見を結果をとりまとめ、以下の結果を得た。オホーツク海内の東サハリン海流と春季の海氷の融解水は、大陸棚起源の鉄を南部オホーツク海および沿岸親潮水の広範囲に運び、高栄養塩・高鉄濃度の特徴の水塊を形成し、春季の植物プランクトンの増殖に大きな影響を与えていることが示唆された。また、西部ベーリング海から東サハリン海流の観測の結果、当初の仮説にあった海氷融解水や海氷が生み出す高密度水そのものの寄与は限定的ではあったが、西部ベーリング海が栄養物質の循環を通して亜寒帯域と極域をつなげている重要な海域であることを示した。このように2つの異なったスケールの栄養物質循環によって、極域(亜極域)と亜寒帯太平洋が繋がっており、北西部北太平洋の生物生産が生み出されていることを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Limnol. Oceanogr.
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Progres in Oceanography
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