研究課題/領域番号 |
17H00787
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村上 正隆 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任教授 (30354484)
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研究分担者 |
橋本 明弘 気象庁気象研究所, 予報研究部, 主任研究官 (20462525)
松見 豊 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 研究員 (30209605)
田尻 拓也 気象庁気象研究所, 予報研究部, 主任研究官 (40414510)
篠田 太郎 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (50335022)
折笠 成宏 気象庁気象研究所, 予報研究部, 主任研究官 (50354486)
松木 篤 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90505728)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エアロゾル / 雲核能 / 氷晶核能 / 金属酸化物粒子 / エアロゾル-雲-降水統一モデル |
研究実績の概要 |
工業地域だけでなく、大気中に広く存在する金属酸化物の雲核能・氷晶核能を雲核計・氷晶核計・雲生成チェンバー等を用いて調べた。雲核能を示すパラメータである吸湿度(κ)は0.01~0.03、-23℃における内部凍結モードを介した氷晶核能は氷(晶)核形成活性表面部位(INAS)密度に基づくと、Al2O3粒子は2 x 109 m-2、Fe2O3粒子は1 x 108 m-2で、大気中の代表的な氷晶核である鉱物塵粒子と同等の値を示した。各種エアロゾル測定装置・雲核計・氷晶核計を用いた大気エアロゾルのモニタリング観測を継続し、エアロゾル-雲-降水統一モデルの検証用データを取得した。エアロゾル-雲-降水統一モデルはプログラムのコーディングを終えて、現在、その性能を検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地上エアロゾルモニタリングシステムによる通年観測はほぼ順調にデータが取得されており、気象条件等と関連付けた統計解析を通して雲核・氷晶核として働く大気エアロゾルの動態解明もほぼ予定通り進んでいる。雲生成チェンバーを用いた、人為起源エアロゾルや自然起源のダスト・バイオエアロゾルを模した標準エアロゾル粒子の雲核・氷晶核特性の評価は、2017年度はほぼ順調に進められたが、2018年度は雲生成チェンバーの冷却システムの故障により予定通り実施することができなかった。氷晶核計による計測と同期した大気エアロゾルの氷晶核能をより正確に評価するための雲生成チェンバー実験も予定通り実施することができなかった。2017年度はエアロゾル・雲物理のモデリングを扱う専門的知識を有する研究協力者を雇用し、エアロゾル・雲・降水統一非静力学モデルの開発を行う予定であったが、前任地での雇用が延長されモデル開発に参画できなくなったため大幅に遅延した。2018年度は同様の知識を持つ新たな人材を4月からの雇用しモデル開発に取り組んだが、年度途中で就職が決まり短期間の雇用となりモデル開発を完了することが出来なくなった。研究代表者がモデル開発を引き継ぎ、モデルの詳細設計を実施し、それに基づきプログラムコーディングを外注し、現在その性能評価を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き地上エアロゾルモニタリングシステムによる通年観測を継続するとともに、2018年度、冷却システムの故障により予定通り実施できなかった雲生成チェンバーを用いた人為起源エアロゾルや自然起源のダスト・バイオエアロゾルを模した標準エアロゾル粒子の雲核・氷晶核特性の評価と、氷晶核計による測定と同期した大気エアロゾルの氷晶核能評価のための雲生成実験を集中的に実施する。エアロゾル・雲・降水統一非静力学モデルの開発及びそのモデルを用いたエアロゾルの雲・降水影響を解明に関しては、エアロゾル・雲物理のモデリングを扱う専門的知識を有する人材の確保に努め、研究の推進を図る。
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