研究課題
気象研究所の雲生成チェンバーを用いて室内実験を行い、種々の気象条件設定下で複数種の標準粒子の多様な混合状態からの雲生成実験を行い、初期雲粒粒径分布・氷晶数濃度に対する影響を調べた。雲核計および氷晶核計を用いた測定結果とあわせて、各種エアロゾルの雲核・氷晶核特性を定式化(雲核・氷晶核による雲生成過程のモデル化)を行った。茨城県つくば市気象研究所構内で、地上エアロゾルモニタリングシステムによる通年観測を継続し、気象条件等と関連付けた統計解析を通して雲核・氷晶核として働く大気エアロゾルの動態を解明し、その成果を論文公表した。地上エアロゾルモニタリング観測の結果は雲解像モデルと全球エアロゾルモデルの検証・改良用データとして提供した。種々のエアロゾルの雲核・氷晶核特性に関する室内実験結果に基づき、エアロゾル・雲・降水統一パラメタリゼーションの開発・改良を行い、名古屋大学が開発した雲解像(非静力学)モデル、CReSSへ実装した。全球 (エアロゾル気候)モデルからのエアロゾルの3次元情報を雲解像モデルに取り込み、暖候期に日本周辺域に発生する雲システムおよび乾燥・半乾燥域に発生する日周対流雲に関するシミュレーションを行い、エアロゾルの雲・降水影響が適切に表現されていることを確認した。雲核や氷晶核として働くエアロゾルの雲・降水影響は日々の天気予報から気候変動予測まで様々なスケールで重要な役割を果たしていることが認識され、1990年代からその影響に関する研究されてきたが、不確定性の軽減には至っていなかった。本研究で開発したモデルを用いたシミュレーションを行うことによって、エアロゾルの雲・降水影響、特に降水雲を介したエネルギー・水循環の変調を解明・評価し、天気予報および気候変動予測の精度向上につなげることが可能となった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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SOLA
巻: 16 ページ: 185~191
10.2151/sola.2020-032
巻: 16 ページ: 212-219
10.2151/sola.2020-036