研究課題/領域番号 |
17H00796
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
橋本 俊次 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 室長 (80321719)
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研究分担者 |
高澤 嘉一 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (40391122)
松神 秀徳 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (10639040)
大塚 宜寿 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質・環境放射能担当, 担当部長 (30415393)
頭士 泰之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80611780)
山本 敦史 公立鳥取環境大学, 環境学部, 講師 (40332449)
柏木 宣久 統計数理研究所, モデリング研究系, 名誉教授 (50150032)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ノンターゲット分析 / 環境モニタリング / 精密質量分析 / 差の検出 / 網羅分析 |
研究実績の概要 |
今年度は、質量分析法の応用とした包括的化学物質モニタリングにおいて、質量測定データの直接比較による異常検出を可能にするための基礎検討として、SBSE-TD-GCxGC-ToFMSによる河川水モニタリング(網羅分析)データについて、繰り返し測定再現性と試料間差の関係を調べた。埼玉県環境科学国際センターの協力を経て小河川のモニタリング地点から採取した6日分の水試料を用い、それぞれ5つの分割試料(n=5)を作成し、計30試料について、SBSE-TD-GCxGC-ToFMSによる網羅分析を行ったところ、約2,000成分が分離検出され、そのうちの80成分について再現性と試料間差の評価を行った。分析法の再現性、測定可能物質と感度、分析時間のさらなる短縮など、改良の余地があるものの、ノンパラメトリックな群間差検定法の一つであるKruskal-Wallis test を実施した結果、多くの成分で試料間差が検出可能であった。p値が0.01未満のものは40成分あり、検定した成分の半数超となった。p値0.05未満とした場合、53/75 と約7割となった。このことから、物質同定前の測定データの直接比較により個別成分の異常検出が可能であることが確認でき、環境ノンターゲットモニタリングにおける異常検出の自動化の展望が開けた。 多成分ノンターゲット分析技術の検討では、小型捕集管による大気捕集とスターバーによる水抽出のモニタリングを実施するとともに、有害成分の一斉捕集に向けた手法開発の最適化を進めた。オンサイト水抽出試料の測定データについて、NISTデータベースと組み合わせた高精度な物質同定手法を検討した結果、ライブラリーと高い一致度を示す物質数は約1100物質に及び、迅速同定手法としての有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度当初、主力測定装置の不調に見舞われたが、年度後半から試料測定を開始することができた。サンプリング、測定、データ解析はおおむね順調に進展している。GCxGCデータの差の検出については、口頭発表と国際誌への発表を行い、成果の発信も行った。
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今後の研究の推進方策 |
現在埼玉県下河川において隔週のペースで行っている水質サンプリングを継続し、そのノンターゲット分析結果から差の検出を行う手法に、比較的初歩的な近傍法と精密な非負値制限因子分解法の二つを適用し、長短を検討する。他に改良セミアクティブサンプラーによる大気捕集と標準法との比較検討を東京都、埼玉県の協力を得て実施する。また、大気圧イオン化によって普及しているLC用のMSMSによるノンターゲット分析の有効性の検証も開始する予定である。
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