研究課題/領域番号 |
17H00802
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
吉田 篤正 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60174918)
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研究分担者 |
島崎 康弘 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (20584270)
橋田 祥子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (30398903)
安田 龍介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50244661)
木下 進一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70263209)
飛田 国人 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (40465919) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 都市環境創生 / 持続可能システム / ヒートアイランド / 環境負荷低減 / 温熱ストレス |
研究実績の概要 |
真空断熱材等の低熱伝導率材料の熱伝導率は,従来の測定装置の測定範囲を超えて低いものもあり,その測定は困難を極める.そこで真空断熱材内部の伝熱現象をモデル化し,数値解析により熱伝導性能を予測を検討した.真空断熱材は芯材としてグラスファイバー,被覆材としてアルミフィルムで構成されていると想定し,その内部の固体熱伝導および吸収・散乱によるふく射輸送をモデル化し,芯材の繊維径,繊維密度等のパラメータが断熱材の熱伝導特性に及ぼす影響について評価した. 街路樹を想定して孤立樹木を対象として,その周囲との熱交換特性を数値的に評価するためのモデルについて検討した.詳細構造を表現した樹木のCADモデルから,樹木の構造をパラメータ化し,Rossのふく射輸送モデル,蒸散量にかんするJarvisモデルを援用し,その熱収支を評価を行った. 夏季におけるヒートアイランド現象などの暑熱環境への対策の必要性が重要視されており,都市人工被覆の代表格である舗装に着目した取り組みを行った.舗装素材に関して,その熱物性測定はこれまでにも行われてきたものの,実環境に敷設したのちの熱的挙動に関して未解明の部分も多いため気温,湿度,ふく射熱といった物理量の実地測定を行い,また滞在者の温熱状態を定量的に評価する試みも併せて行った. プラスチック座面及び木製座面を日向に設置し,被験者実験を行い,座面から臀部への刺激量と温冷感との関わりを検証した.局所刺激である座面熱流束の大きさから,個人差はあるものの,接触温冷感(臀部温冷感)を予測することができると考えられる.しかし,温刺激と冷刺激に対する人間の感受性の違いの大きさを明らかにすることはできなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
屋外を対象とした温冷感、熱負荷に関する研究はほぼ予定通りに進捗した。断熱材に関する測定装置の開発、数値計算による性能評価に遅れが見られる。粒状の多孔性材料を用いた乾燥特性の評価についても今後の検討課題を残している。
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今後の研究の推進方策 |
凹凸の形状ならびにスケールを変化させた高日射反射材料を製作し,その違いが反射の指向性に及ぼす影響について,光学測定装置を作成し,室内にて評価する.直達日射および散乱日射それぞれの分光特性と材料表面での反射光の分光特性・指向性ならびに凹凸面での多重反射を考慮した詳細な数値解析プログラムを作成し,高日射反射材料の表面におけるエネルギーの授受と外部空間が受ける環境影響についてのシミュレーションを行う.実測により解析法の妥当性の検証も行う. 真空断熱材の内部のふく射と熱伝導による熱輸送を解析するプログラムを作成する.内部に封入される繊維の素材,直径,形状,配向,密度,繊維の内部構造,断熱材の被覆材料の影響を検討する. 低放射率塗料を,実在建物の室内天井面に塗布し,その効果を実証する.室内への熱負荷,室内気温,人体温冷感などを評価項目とする. 樹種や階層構造が異なる様々な植物キャノピーの熱収支の評価を行う.既往の研究で提唱されている蒸散量の式や葉温の算出式を応用し,日射強度や湿度,気温などの気象要素から植物の熱収支のモデルを構築する. 気温,湿度,風速,日射量,代謝量,着衣量の各々の要素に対する人体の応答について被験者実験を行い,刺激と人間感性との関係を解明する.代謝量変動については,心拍数などを考慮し運動生理学を取り入れて時系列・強度の両面から全身温冷感に及ぼす影響を考察する.生活空間のもつ非一様性,非定常性を考慮して,人体の局所的な刺激,快適感・温冷感全身の快適感・温冷感との関係の把握を行う.
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