現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木質バイオマスを反応物として、まず木質バイオマスに含まれるセルロースおよびヘミセルロースを糖アルコールに変換することを検討し、スギに炭素担持白金触媒(Pt/C)と水素を加え、反応温度190 ℃で反応させることにより、ソルビトールやキシリトールなどの糖アルコールに変換可能であることをいままでに明らかにした。固体残渣として、担持金属触媒とリグニンが残存する。その固体残渣(主に担持金属触媒とリグニン)を400 ℃で処理することにより、リグニンの分解反応が進行し、ベンゼン、フェノール、トルエン、エチルベンゼンなどが得られた(ACS Sustainable Chemistry & Engineering, 7, 10445-10451 (2019).)。得られる糖アルコールは高温水中の脱水反応で、イソソルビドなどの有用化学物質に変換可能であることが分かった(Carbohydrate Research, 487, 107880 (6 pages) (2020).)。 2019年度は、リグニンの分解挙動を明らかにするために、リグニンモデル化合物の分解挙動を明らかにした(Waste and Biomass Valorization, 11, 669-674 (2020).)。この結果により超臨界水中で担持金属触媒を用いた木質バイオマの分解反応を実施し、芳香族化合物が得られることがわかり研究進捗した(Molecular Catalysis, 477, 110557 (6 pages) (2019); J. Jpn. Petrol. Inst., 62, 228-233 (2019).)。また、オルガノソルブリグニンの分解反応でも芳香族化合物が得られることが明らかになった(J. Jpn. Petrol. Inst., in press.)。
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