研究課題/領域番号 |
17H00814
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研究機関 | 共立女子短期大学 |
研究代表者 |
山口 庸子 共立女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20201832)
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研究分担者 |
天木 桂子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80193019)
後藤 景子 奈良工業高等専門学校, 校長, 校長 (30243356)
田川 由美子 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (40207808)
大矢 勝 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70169077)
森田 みゆき 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10174434)
木村 美智子 茨城大学, 教育学部, 教授 (70214898)
下村 久美子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (80162816)
増子 富美 日本女子大学, 家政学部, 教授 (10060708)
安川 あけみ 弘前大学, 教育学部, 教授 (70243285)
榎本 一郎 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ複合素材開発セクター, 主任研究員 (10462970)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ファインバブル / 環境 / 洗浄 / 染色加工 / 生活 / 界面活性剤 / すすぎ / 蛍光分析 |
研究実績の概要 |
1.ファインバブル水の機能・メカニズムの解明(基礎実験)ナノ粒子径分布測定装置を用いたファインバブル水の気泡サイズ・密度の測定から、粒子径が小さく密度の高いものほど安定性が良好であることを確認した(山口)。ファインバブル水の基本的物性を流動特性の面から検証した結果、織物間隙のような狭小空間を通過する際の抵抗が通常の水に比べて低く通過しやすいことを見出した(天木)。 2.ファインバブル水を活用した高機能処理技術の構築(応用実験) 2.1すすぎ工程:汚れの洗浄性に及ぼすファインバブル水すすぎの効果を検証するために、モデル洗浄系およびテキスタイル洗浄系を構築し、洗浄性評価法を確立した。人工汚染布を用いて、ファインバブル水すすぎによる繊維からの汚れと界面活性剤の脱離の促進を確認した(田川・後藤)。ファインバブル水を用いた界面活性剤(含ベンゼン環)の除去挙動をHPLC-蛍光検出で求める実験条件を求めた(大矢)。 2.2洗浄工程:酵素活性が最適な処理条件を明らかにするために、活性測定法の検討とブランク値、ファイバブルの発生条件を求めた(山口・森田)。家庭洗濯へのファインバブルの応用とLCAデータの収集を行った(山口)。 2.3汚れの分解・漂白:オレイン酸汚れの除去におけるファインバブル水の効果をFT-IR法で評価した結果、ポリエステルよりも綿に対して効果があることを確認した(木村担当)。ファインバブル発生装置内蔵の洗濯機を用い、水晶振動子法による脂肪汚れの除去効果を確認した(下村)。 2.4染色・加工工程:染色への活用染色にウルトラファインバブル水を用いた結果、浸染液利用では条件設定が課題であるものの、抽出時利用では濃色化が認められた(安川)。精練工程におけるファインバブルの最適条件を検討し、界面活性剤使用量の低減、処理温度の低温化、処理時間の短縮ができた(増子・榎本)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ファインバブル発生装置や測定に関わる機器の購入・配備を行い、恒常的なファインバブルの発生や測定環境の整備、測定条件や技術を整えることができた。さらに、ファインバブルの発生から応用に至る諸課題においてその問題と課題を明らかにするとともに、実験データの集積と解析を順調に遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き本研究の目的を達成するために,ファインバブル水の機能やメカニズムを解明する基礎実験とファインバブル水の繊維分野への活用を推進する応用実験を行う。 基礎実験では、ファインバブル水の調整や気泡サイズや密度等を測定し、水系処理に関わる諸性能を明らかにする(山口)。また、ファインバブル水の流動特性を探るため矩形流路内の流れ方を検証し、水との違いを明らかにする(天木)。 応用実験では、すすぎ、洗浄、分解・漂白、染色・加工の4工程について、大気、酸素、オゾンを用いたファインバブル水のモデル実験を行なう。すすぎ工程では、ファインバブル水と水を比較いて表面反射率法又は水晶振動子法によりすすぎ性能を評価する(田川、後藤)。ファインバブル水のバッチ式すすぎシステムを構築し、バブルの粒径分布と界面活性剤の除去性の関係を考察する(大矢)。洗浄工程では、酸素ファインバブルの気泡サイズや密度、溶存酸素と酵素活性や吸着性の関係を分析、最適な処理条件を考察する(山口、森田、伊村)。汚れの分解・漂白工程では、オゾンファインバブル水を用いて、FT-IRによる汚れ除去効果(木村)、水晶振動子法による脂肪汚れの除去効果(下村)、ATPによるタンパク質汚れの除去効果(山口)を検討する。ファインバブル発生装置内蔵の洗濯等を用いて、消費科学的な視点からの洗浄効果への寄与についての検討する(下村、山口)。染色・加工工程では、ファインバブル水や種々の水を用いて布への浸透性を比較し、染色性との関係性を検討する(安川)。精練工程におけるファインバブルの最適条件の検討や効果的な酵素ファインバブル法の処理条件を検討する。増子、榎本)。 得られた成果を基に、ファインバブル水の洗浄や染色加工に関わる処理技術を取りまとめ、実践に活かせる高機能処理技術を構築に向けて多角的に推進する。
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