研究課題/領域番号 |
17H00817
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長岡 利 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50202221)
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研究分担者 |
清島 満 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10171315)
松井 利郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (20238942)
上野 義仁 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20250467)
本多 裕之 名古屋大学, 予防早期医療創成センター, 教授 (70209328)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ペプチド / ペプチドアレイ / コレステロール / 動脈硬化 / ラクトスタチン / 胆汁酸 / 脂質ラフト / β-コングリシニン |
研究実績の概要 |
(1)従来報告されている方法を参考に、超遠心法により脂質ラフトを単離する方法を構築した。濃縮後に脂質ラフトのマーカーであるFlotilinをWestern blotで、アルカリフォスファターゼの酵素活性測定により、それぞれ検出した。以上のように、脂質ラフトの単離法を確立した。さらに、ラクトスタチン受容体を単離・特定するための標識IIAEKと脂質ラフトとを反応させ、ラクトスタチンの作用と関連する分子Xを特定した。 (2)ラットに大豆β-コングリシニンまたは、MilliQ水(対照群)を単回経口投与し、投与後30、60、120分において門脈採血を行った。採取した血液は遠心分離を行い、得た血漿はMALDI-MS分析およびLC-TOF/MS分析を行った。その結果、β-コングリシニン群に特異的なペプチドのピークが、30分、60分、120分において検出された。120分におけるペプチドのピークのうちの半分が複数のラット血漿検体から検出された。また、MALDI-MSで検出されたペプチドのピークのうち数本のペプチドのピークがLC-TOF/MSでも確認された。 (3)米α-グロブリン由来の胆汁酸結合性ペプチドについて、ペプチドアレイにより評価し、米α-グロブリン中には、比較的高い胆汁酸結合能を有する5種類のペプチドが存在することを明らかにした。これら胆汁酸結合ペプチドのうち、特に、ペプチドX(特許の関係でアミノ酸配列非公開)は胆汁酸と結合し、ミセルの溶解性を低下させ、コレステロール代謝改善作用に寄与するペプチドであることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した下記のいずれの研究内容においても、研究計画の内容が研究実績の概要のように、おおむね順調に進展しているためである。 (1)ラクトスタチンの媒介する新規肝臓コレステロール(CHOL)分解調節系や新規腸CHOL吸収調節系に関与するラクトスタチン受容体特定(標識ラクトスタチン使用)を含めた標的分子を解明する。そのため、ラットの細胞膜を超遠心などにより精密単離し、細胞膜画分と標識ラクトスタチンとの相互作用を種々の手法で解析する。 (2)ペプチドアレイを活用したCHOL代謝改善ペプチド発見とその探索評価技術を創成する。 (3)ヒトや動物で脂質代謝改善作用を発揮する大豆β-コングリシニン(大豆β)をヒトやラットに摂取させ、投与後に血中に出現する大豆β由来ペプチドをTOF/MSやLS/MSなどで特定する。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね申請時の計画で遂行することで問題はない。なお、超遠心法により精密単離した脂質ラフト画分を用いて、光親和性・蛍光標識ラクトスタチン(IIAEK)によるラクトスタチン受容体を特定する研究では、内容が極めて新規のため、実験条件が従来にない工夫を要する可能性があり、この点に関する研究体制の強化を図る方針である。たとえば、研究をより高度なレベルで遂行するため、ラクトスタチン受容体(仮説)を特定する研究内容では、脂質ラフト研究者(岐大、北大)との共同研究を計画中である。また、GPCRの専門研究者(岐大)との共同研究(科研費以外の資金)の継続または、計画中(東大)であり、より新規性の高い方法や考え方でアプローチできる目途ができた点は強調すべき点と考える。
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