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2018 年度 実績報告書

生体構造に適した、実空間に表示可能な四次元画像表示装置の開発とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 17H00857
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

鈴木 直樹  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40147327)

研究分担者 服部 麻木  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90312024)
岡本 友好  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00246381)
宮脇 剛司  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70246445)
岡本 愛光  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20204026)
花房 昭彦  芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (10547839)
橋爪 誠  九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 名誉教授 (90198664)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード四次元画像表示装置 / 四次元データ / 手術ナビゲーション
研究実績の概要

本年度前半で四次元表示装置の完成をめざし、前年度に作製した円柱上のミスト(霧)の流れを発生させる装置、小型プロジェクタ群の照射アセンブリ機構、画像処理システムを結合させ、装置の1号機を完成させる作業を行なった。また空間に結像させた画像に対する時空間分解能の計測法を開発するために幾何学モデルを使った実験法を考案した。これによりモニターに表示された画像の分解能を評価するために、空間上に表示された立体像の分解能を評価するための手法構築も行った。このために何種類かのテストパターンを作製して検討を行った。
そしてこの手法をもってドライファントムを用いた撮像と表示の実験を進め、開発装置の表示能力の検討を続けた。この結果、臨床医側の研究者と協議しながら表示画像の更なる解像度の向上の必要性に迫られた。
本年度中盤でミスト発生装置、小型プロジェクタ群の照射アセンブリ機構、画像処理システムのどの部分を改良すると、最終的な空間解像度がどのように向上するかを技術要素ごとに検討した。これに基づき本年度後半で1号機の再構築し、新たな構造を持つミスト発生装置の搭載を行った。また、小型プロジェクタ群の数を変更するとともに、各プロジェクタの空間的配置を変えることによる最終画像の変化を調べた。
これらの各技術要素の並列的な改良作業とともに、研究所内のCT装置と動物実験施設を用いてブタの臓器を使用した実験により、臓器内構造、血管走行これらの動的変化の認識率を検証していった。また研究所内の模擬手術室での照射実験を行い、診療各科の専門医による評価実験を行った。そして同時にナビゲーション手術使用時の画像を空間表示して、術前シミュレーションや手術計画にどのように利用できるかの検討も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に作製したミスト装置、小型プロジェクタ群の照射アセンブリ機構、画像処理システムを結合させ、装置の1号機を完成させたが思った通りの空間解像度を持つ表示画像が得られなかった。しかし装置のどの部分を改良すると最終的な空間解像度がどのように向上するかを技術要素ごとに検討してこれを克服できた。これには今まで確かな手法のなかった、空間上に表示された立体像の分解能を評価するための手法の構築を行ったことが問題の洗いだしを明確化したと考える。このために製作した何種類かのテストパターンも適確に役立った。検討の結果、来年度の予算を繰り越して1号機の改良作業を行うことができ、結果的にほぼ順調な研究の進行状況を取り戻すことが出来たと考える次第である。

今後の研究の推進方策

本装置は単に研究室内で完成するだけでは無意味であり、臨床の現場で診断、治療に新たな知見、新たな可能性を生み出さなければ意味は無いものと思う。
この観点から臨床の他分野の専門医と協力し、それぞれの専門分野の中で表示すべき体内の4次元情報を的確に表示しうるかを評価していく姿勢を研究開発の最終段階まで保ち続けるつもりでいる。
さらに生体の解剖学的構造とその動態を空間に表示して利用することは、これまでの医学では行なわれていない事象であるゆえ、この表示法がどの様に医学を変えていくことができるのか、どこまでも新しい診断法、新しい手術を含む治療法につなげられるかを留意しつつ研究を進めていくつもりである。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Novel navigation system by augmented reality technology using a tablet PC for hepatobiliary and pancreatic surgery2018

    • 著者名/発表者名
      Yasuda J, Okamoto T, Onda S, Futagawa Y, Yanaga K, Suzuki N, Hattori A
    • 雑誌名

      International Journal of Medical Robotics and Computer Assisted Surgery

      巻: 14 ページ: e1921

    • DOI

      10.1002/rcs.1921

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparison of Intercuneiform 1-2 Joint Mobility Between Hallux Valgus and Normal Feet Using Weightbearing Computed Tomography and 3-Dimensional Analysis2018

    • 著者名/発表者名
      Kimura T, Kubota M, Suzuki N, Hattori A, Marumo K
    • 雑誌名

      Foot and Ankle International

      巻: 39 ページ: 355-360

    • DOI

      10.1177/1071100717744174

    • 査読あり
  • [学会発表] 位置認識誘導型ナビゲーションシステム(recognized position-guided navigation system)の開発2018

    • 著者名/発表者名
      兼平卓,岡本友好,二川康郎,阿部恭平,安田淳吾,恩田真二,矢永勝彦,鈴木直樹,服部麻木
    • 学会等名
      第27回日本コンピュータ外科学会大会
  • [学会発表] 四次元人体モデルの開発とMRIによる骨格筋の動態計測2018

    • 著者名/発表者名
      服部麻木,鈴木直樹,大滝正子,橋爪誠
    • 学会等名
      第57回日本生体医工学会大会
  • [学会発表] 超音波を用いた事前データモデルを用いない腹腔鏡手術ナビゲーションの基礎的検討2018

    • 著者名/発表者名
      高木偉博,服部麻木,鈴木直樹
    • 学会等名
      第57回日本生体医工学会大会
  • [学会発表] 3 次元解析システムと荷重位 CT を用いた楔状骨周囲と母趾列の関節可動性の評価~健常足と外反母趾 足の比較~2018

    • 著者名/発表者名
      木村正,窪田誠,鈴木直樹,服部麻木,丸毛啓史
    • 学会等名
      第57回日本生体医工学会大会
  • [学会発表] 開腹下手術の術中ナビゲーションシステムの新しい機能の開発2018

    • 著者名/発表者名
      服部麻木,兼平卓,岡本友好,二川康郎,恩田真二,安田淳吾,矢永勝彦,鈴木直樹
    • 学会等名
      第37回日本医用画像工学会大会
  • [学会発表] Evaluation of joint mobility around the cuneiform between hallux valgus and normal feet using 3D analysis system and weight-bearing CT2018

    • 著者名/発表者名
      Kimura.T, Kubota M, Hattori H, Minagawa K, Suzuki N, Hattori A, Marumo K
    • 学会等名
      International foot and ankle biomechanics
  • [学会発表] 外反母趾足と健常足の第1中足骨の捻れの評価 ―足部CTと3次元画像解析システムを用いて―2018

    • 著者名/発表者名
      木村正,窪田誠,服部英和,皆川和彦,鈴木直樹,服部麻木,斎藤充,丸毛啓史
    • 学会等名
      第91回日本整形外科学会学術集会
  • [学会発表] 荷重位CTと3次元解析システムを用いた外反母趾足と健常足における母趾列の各関節の荷重負荷による変位の解析2018

    • 著者名/発表者名
      木村正,窪田誠,服部英和,山下隆之,雨谷えりか,池上拓,玉川明香,鈴木直樹,服部麻木,丸毛啓史
    • 学会等名
      第43回日本足の外科学会
  • [図書] 高次元医用画像工学とその臨床応用2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木直樹,服部麻木
    • 総ページ数
      164
    • 出版者
      誠文堂新光社
    • ISBN
      978-4-416-51801-4
  • [産業財産権] 立体映像表示システム2019

    • 発明者名
      鈴木直樹,服部麻木,橋爪誠
    • 権利者名
      鈴木直樹,服部麻木,橋爪誠
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2019-017526

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公開日: 2019-12-27  

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