研究課題
現在、遺伝子治療や癌に対するウイルス療法等が、再び大きな注目を集めている。本研究では、近年新たな研究領域として開拓されてきたマイクロRNA(miRNA)や免疫誘導メカニズム、ゲノム編集の観点から、基礎に立ち返って、アデノウイルス(Ad)と宿主の攻防(ウイルスは細胞で複製に最適な環境を作ろうとするのに対し、細胞はそれを防ごうとする)を理解し、それらを遺伝子治療やワクチン、ウイルス療法、さらには基礎研究への応用に適した改良型Adベクターの開発につなげることを目的に研究を遂行した。R1(H31)年度は以下の成果を得た。(1)Adと生体(細胞)との相互作用解析①Ad複製の観点からの解析: VA-RNAIIの生理機能の解明を試み、H31年度にVA-RNAIIのプロセシング産物であるmivaRNAIIが、CUL4Aの発現を抑制することで、Adの増殖を促進することを明らかにした。そこでR1年度は、shCUL4Aカセットを搭載した腫瘍溶解性Adを作製し、その機能・有用性をin vitro、in vivoで明らかにした。②免疫誘導の観点からの解析: Adベクターを用いたHIVワクチンの臨床試験では、生体が有するヒト5型Adに対する既存抗体がワクチン効果に影響を及ぼしていることが報告されている。そこで、ヒト5型Adに対する既存抗体の主な標的であるヘキソン領域のHVR領域を改変したAdベクターを作製し、その機能をin vitro、in vivoで評価した。また、異なる血清型に属するヒト35型Adからなら腫瘍溶解性Adの有用性を明らかにした。(2)CRISPR/Cas9システム搭載Adベクターの遺伝子治療や基礎研究としての有用性評価汎用されているCas9とは異なるCas12a(Cpf1)発現Adベクターを高収量で回収可能なベクター系を開発した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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