研究課題/領域番号 |
17H00907
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
貝澤 哉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30247267)
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研究分担者 |
北見 諭 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00298118)
鳥山 祐介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40466694)
杉浦 秀一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 名誉教授 (50196713)
兎内 勇津流 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (50271672)
下里 俊行 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80262393)
坂庭 淳史 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80329044)
望月 哲男 中央学院大学, 現代教養学部, 教授 (90166330)
金山 浩司 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (90713181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 思想史 / ロシア / 超越性 / 生 / 身体 |
研究実績の概要 |
20年度は新型コロナ感染症の世界的拡大により、海外での資料調査、庫内外の学会出張、研究者の招聘等の人的交流が困難な状態となり、事業計画の一部が遅滞することとなった。とりわけ、当初計画していた国際学会での成果発表や国際シンポジウムの開催、現地研究者によるレビューなどが難しくなったため、当初の予定を変更し、現状で可能な資料収集と研究を国内で継続しながら、最終年度に向けて論集刊行をめざすことで、成果の発表と総括を行うこととした。 年2回の研究会はリモート形式に変更し、秋と春に参加者それぞれの研究経過報告と、その全体的な総括を行った。 その結果、次のような興味深い方向性が明らかになった。 ①「〈超越性〉と〈生〉との接続」という本研究独自の視点の設定のおかげで、18世紀から19世紀を経て20世紀ソ連時代までの、啓蒙主義、文芸批評、宗教思想、教育思想、法思想、教会史、人格理論・他者理論、科学史など、これまでの日本のロシア思想史研究では比較的手薄だった分野において、それぞれの現れ方は多彩であるものの、西欧哲学思想やロシア国内の文化・宗教的多様性との力関係のなかで、超越性と生を接近させようとする様々な試みがなされ、それが一定の潮流を形成しているように見えることが、かなりはっきりと感じられるようになってきた。 ②そのさい特に注目すべき点は、身体的・物理的なもの、個物、個人の意識(個我)、経験といったフィジカルなものを、神や宗教的全一性、社会・共同体、理念や精神といったメタフィジカルなものと対立させ、どちらかの排除をはかるのではなく、いわば包括的に共存させようとするような傾向に、巨視的な意味での共通性があるのではないか、ということである。そこで本研究では、最終年度に向けてこの点を更に深く究明していくこととしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
20年度は新型コロナ感染症の世界的拡大により、海外での資料調査、庫内外の学会出張、研究者の招聘等の人的交流が困難な状態となり、事業計画の一部が遅滞することとなった。とりわけ、当初計画していた国際学会での成果発表や国際シンポジウムの開催、現地研究者によるレビューなどが難しくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は最終年度に向けて、①啓蒙主義、文芸批評、宗教思想、教育思想、法思想、教会史、人格理論・他者理論、科学史などの多様な分野において、西欧哲学思想やロシア国内の文化・宗教的多様性との力関係のなかで、超越性と生を接近させようとする様々な試みがなどのようになされてきたのか? また②身体的・物理的なもの、個物、個人の意識(個我)、経験といったフィジカルなものを、神や宗教的全一性、社会・共同体、理念や精神といったメタフィジカルなものと対立させ、どちらかの排除をはかるのではなく、いわば包括的に共存させようとするような傾向は、なぜ近現代ロシアの様々な領域において特徴的に現れるのか、という問いを、最終年度に向けて更に深く究明し、ロシア思想史の枠組みの大きな見直しへとつなげていくことにしたい。 新型コロナ感染症の拡大に伴って、国際学会参加や国際シンポジウムの開催が困難になったため、最終年度の研究総括の方法については、代表者・分担者の参加による包括的な論集の刊行を新たな目標として設定し、グループとしての成果を刊行物の形で広く社会に発信することを目指す。 新型コロナ感染症をめぐる状況がある程度緩和された場合には、国際学会での発表や国際シンポジウム開催、外国研究者の招聘による研究のレビュー等についても改めて検討することとする。
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