研究課題/領域番号 |
17H00949
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
奥野 克巳 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (50311246)
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研究分担者 |
シン ジルト 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (00361858)
近藤 祉秋 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 助教 (80779273)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人類学 / マルチスピーシーズ / 民族誌 / 種 / 動物 / 環境人文学 |
研究実績の概要 |
本科研のメンバーは、海外調査活動として、モンゴル、マレーシア、アメリカ、ブータン、韓国、中国および国内各地で現地調査研究を実施した。 人類学、哲学、社会学、文学、霊長類学、アート、在野研究を横断させてマルチスピーシーズ、環境文学、多自然主義、仏教、芸術、種社会などをめぐって、7組が対談し討議するかたちでシンポジウムを開催した(第33回マルチスピーシーズ研究会「モア・ザン・ヒューマン」12月7日~8日:立教大学)。 本科研の活動の成果の一部をまとめたものとして『たぐい』Vol.2.を刊行した。また一部の研究メンバーで、論集『犬からみた人類史』を出版した。 本科研を母体とするマルチスピーシーズ人類学研究会では、年間を通じて以下の9回の研究会を開催した。第27回研究会(「農と自己~『個体としての十全さの最果て』~」、4月8日:立教大学)、第28回研究会(「アニミズムの新生に向けて~人類学と民俗学の試みとして~」、5月31日:立教大学)、第29回研究会(「ケアの共異体」、6月27日:立教大学)、第30回研究会(「人類学の『制作論的転回』は可能か?」、7月1日、立教大学)、第31回研究会(「北方の犬ゾリ文化~動物行動学と文化人類学の視点から~」7月13日、北海道立北方民族博物館)、第32回研究会(「マルチスピーシーズ人類学と民族誌」、7月28日:熊本大学)、第34回研究会(「『イメージの人類学』とサーリンズのアニミズム論」1月29日:立教大学)、第35回研究会(「動物論の今日~『現代思想からの動物論』と『聖なるズー』を読む~」2月15日:熊本大学)、第36回研究会(「人獣関係の動態―人間の知を凌ぐ動物たちの行動がもたらす世界―」、2月16日:熊本大学)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトの成果出版である『たぐい』Vol.2を出版することができた。今年度計画していた国際シンポジウムは、編集作業により多忙であったため実施できなかったが、代わりにマルチスピーシーズ人類学の主題と関連性の強い大著の論文集(『犬からみた人類史』)を出版することができた。 9回の研究会をつうじて、今後の理論的な検討のための準備作業も行うことができた。12月には、シンポジウム「モア・ザン・ヒューマン」を開催し、本科研課題に関わる諸課題を抽出し、議論や意見情報交換を行うことができた。 本科研の研究メンバーは、現地調査や文献研究を継続してきており、おおむね順調に目標を達成していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年初頭から感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症の影響により、海外調査研究や海外からの研究者招聘がどの程度可能であるかは不透明な状況が続いているが、繰り越しした海外調査研究(マレーシア)を含め、情報収集に努めながら、可能な限り研究活動を継続していきたいと考えている。なお、海外調査や招聘が難しい場合を想定して、オンラインサービスを活用した交流や調査研究について検討し始めている。同時に、本科研の課題に関するテーマを前進させるかたちで研究活動を維持・継続する方法を、研究代表者・研究分担者で協議・検討している。研究会に関しても、オンラインで開催する体制の準備を進めている。 これまでの研究成果や途中経過を公開するために、引き続き、『たぐい』Vol.3.の出版刊行を企画し、そのための準備を進める。また、国際シンポジウムの開催に向けて準備作業を行うとともに、国際シンポジウムでの発表をもとにした成果論集の出版準備を進める。
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