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2020 年度 実績報告書

種の人類学的転回:マルチスピーシーズ研究の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 17H00949
研究機関立教大学

研究代表者

奥野 克巳  立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (50311246)

研究分担者 シン ジルト  熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (00361858)
近藤 祉秋  北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 助教 (80779273)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード人類学 / マルチスピーシーズ / 民族誌 / 種 / 動物 / 環境人文学
研究実績の概要

新型コロナ感染症拡大に伴い、海外および国内の調査研究が制限されることを見越して、本研究課題に沿って、研究会活動とそのまとめの作業に力点を置くことを年度初めに決定した。
年間を通じて計15回のオンライン研究会を開催した。4月から6月にかけては、目の前に迫った危機としてのコロナをいかに捉えるかという問いを設定し、HAGAZINEと協同して「COVID-19<と>考える」と題して、対談形式で、計8回の研究会を開催した(第37回~第44回マルチスピーシーズ人類学研究会、4月2日、4月17日、4月24日、4月25日、5月12日、5月21日、5月29日、6月5日)。その成果を『コロナ禍をどう読むか』として出版刊行した。
その他の研究会活動としては、第45回研究会(「人類学とマンガ~民族誌における文字とイメージの覚醒に向けて~」、6月12日)、第46回研究会(「環境人文学の/というフィールドへ」、7月5日)、第47回研究会(「インゴルド『人類学とは何か』を読む」、7月16日)、第48回研究会(「マンガの越境力とその源泉」、8月17日)、第49回研究会(「絡まり合う種と人間」、9月18日)、第50回研究会(「自然/他者」と相渉る」、1月24日)、第51回研究会(「マタギと人類学者:自然と社会の<距離>を考える」、2月14日)を開催した。
これらと並行して、海外および国内のマルチスピーシーズ人類学者および環境人文学者9名に対してインタヴューを実施し、日・英両語で発信する企画を進めた。EKRITSのサイト上で「More-than-Human モア・ザ・ヒューマン」というタイトルの下で公開した。
これまで本科研の研究成果をいかに発信するのかという点に関しては、マンガでの表現の可能性についての追究を開始した。また、本科研の活動の成果の一部をまとめたものとして『たぐい』Vol.3.を刊行した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度初めに、新型コロナ感染症拡大という想定外の事案により、本科研の主たる研究活動である海外および国内の調査研究が進められないことが十分に予想されたため、研究活動そのものが停滞することがないように、①オンライン研究会開催と②当該研究課題に関わる国内外の研究者へのインタヴュー実施に切り替え、それらをまとめる作業を軸に年度計画を立てた。
その計画のもと、①合計15回の研究会を実施し、8回分に関しては、対談集としてその成果を出版刊行することができた。②では、英・日両語でインタヴュー内容をホームページ上で公開し、その編集作業の過程で、本科研の課題に関して、多くの最新情報を得ることができた。
以上のように、海外および国内の調査研究活動に代えて取り組んだこうした研究活動が成果を上げることができたため、おおむね順調に進展していると判断することができる。

今後の研究の推進方策

海外および国内調査研究は2020年度に続いて2021年度も引き続き難しいと予想されるため、オンラインでの研究会活動を進めるとともに、2020年度以来検討を重ねてきている諸課題に関して、とりまとめの出版に向け、準備を進めて行きたい。成果出版関連は、以下の5点である。
①2020年度に実施した9名の関連研究者へのインタヴューに関しては、9月のインタヴュー集の公刊に向けて編集を進める。②本研究のこれまでの成果をどうまとめていくのかという点に関して、2020年度以来、マンガというメディアに着目した上で、議論と検討を進めてきており、2021年9月の成果出版に向けて作業を進める。③本科研の課題に関わる成果論集『科学と食のマルチスピーシーズ人類学』(仮題)に向けても、2021年10月出版刊行に向けて準備を進める。その論集出版後、2021年度後半に合評会を実施する予定である。④また本科研のメンバーのうち一人が、マルチスピーシーズ人類学に関してこれまで発表した論考を中心にまとめた単著の出版を予定しており、準備を進める。⑤本科研の活動の成果の一部をまとめたものとして『たぐい』Vol.4.の2021年9月刊行を目指す。

  • 研究成果

    (26件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (11件)

  • [雑誌論文] ぬいぐるみとの対話 アニミズム、身体の内と外から2021

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳
    • 雑誌名

      ユリイカ

      巻: 53(1) ページ: 158-166

  • [雑誌論文] 「人間」と「人間以外」を繋ぐアニミズム2021

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳
    • 雑誌名

      Voice

      巻: 518 ページ: 114-121

  • [雑誌論文] 剥き出しの屠りと匿名的な屠畜者たち―現代ブータンにみる屠畜規制と拡大する放生実践2021

    • 著者名/発表者名
      宮本万里
    • 雑誌名

      田中雅一・石井美保・山本達也(編著)『インド・剥き出しの世界』

      巻: - ページ: 259-282

  • [雑誌論文] 「人間以上」の世界の病原体――多種の生と死をめぐるポストヒューマニティーズ――2020

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 48(7) ページ: 207-215

  • [雑誌論文] アニミズムを再起動する:インゴルド、ウィラースレフ、宮沢賢治と、人間と非人間の「間」2020

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 48(1) ページ: 185-197

  • [雑誌論文] ドムスの隙間から見る関係性の関係――パナマ東部先住民エンベラのブタ飼育2020

    • 著者名/発表者名
      近藤宏
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 85(3) ページ: 416-435

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 動物の生死と人類: 屠畜と肉食の文化人類学2020

    • 著者名/発表者名
      宮本万里
    • 雑誌名

      西尾宇広(編著)『生命の経済』

      巻: - ページ: 119-142

  • [雑誌論文] Satoshi Yokoyama, Jun Matsumoto, Hitoshi Araki(eds.)Nature, Culture, and Food in Monsoon Asia.2020

    • 著者名/発表者名
      Mari Miyamoto
    • 雑誌名

      Nature, Culture, and Food in Monsoon Asia.

      巻: 10 ページ: 113-125

  • [雑誌論文] 鮭鱒論(salmon trout theory)and the politics of non-Western academic terms2020

    • 著者名/発表者名
      Kondo, Shiaki and Heather A. Swanson
    • 雑誌名

      The Sociological Review

      巻: 68(2) ページ: 435ー451

    • DOI

      10.1177/0038026120905492

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] カメルーンのバカ・ピグミーにおける犬をめぐる社会関係2020

    • 著者名/発表者名
      大石高典
    • 雑誌名

      心理学ワールド

      巻: 92 ページ: 13-16

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] センザンコウの肉と鱗2020

    • 著者名/発表者名
      大石高典
    • 雑誌名

      絶滅危惧種を喰らう

      巻: - ページ: 59-64

  • [学会発表] 「Cosmo- Eggs|宇宙の卵」(ヴェネツィア・ビエンナーレ2019日本館): アートと人類学の交点から考える2020

    • 著者名/発表者名
      下道基行・石倉敏明・川瀬慈・中村史子・岡田正
    • 学会等名
      民族藝術学会
    • 招待講演
  • [学会発表] アニミズムの主体/客体論:人類学と仏教学・比較思想の対話から2020

    • 著者名/発表者名
      近藤祉秋
    • 学会等名
      第54回日本文化人類学会研究大会
  • [学会発表] 部分的につながりあう身体のアニミズム:マルチスピーシーズ人類学から考える2020

    • 著者名/発表者名
      近藤祉秋
    • 学会等名
      第54回日本文化人類学会研究大会
  • [学会発表] アニミズム、朕兆未分已前たる:タイラーからインゴルド、宮沢賢治へ2020

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳
    • 学会等名
      第54回日本文化人類学会研究大会
  • [図書] 牧畜を人文学する2021

    • 著者名/発表者名
      シンジルト、地田 徹朗
    • 総ページ数
      251
    • 出版者
      名古屋外国語大学出版会
    • ISBN
      978-4-908523-29-8
  • [図書] オイラトの民族誌:内陸アジア牧畜社会におけるエコロジーとエスニシティ2021

    • 著者名/発表者名
      シンジルト
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      978-4-7503-5186-5
  • [図書] モノとメディアの人類学2021

    • 著者名/発表者名
      藤野陽平、奈良雅史、近藤祉秋(共編)
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      978-4-7795-1548-4
  • [図書] 新型コロナウイルス感染症と人類学――パンデミックとともに考える2021

    • 著者名/発表者名
      浜田明範、西真如、近藤祉秋、吉田真理子(共編)
    • 総ページ数
      369
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      978-4-8010-0563-1
  • [図書] たぐい vol.32021

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳・近藤祉秋編、石倉敏明、シンジルト他著
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      亜紀書房
    • ISBN
      978-4750516813
  • [図書] コロナ禍をどう読むか 16の知性による8つの対話2021

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳・近藤祉秋・辻陽介編、石倉敏明他著
    • 総ページ数
      432
    • 出版者
      亜紀書房
    • ISBN
      978-4750516820
  • [図書] ひび割れた日常2021

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳・吉村萬壱・伊藤亜紗
    • 総ページ数
      187
    • 出版者
      亜紀書房
    • ISBN
      978-4-7505-1674-5
  • [図書] 文学の環境を探る (フィールド科学の入口)2020

    • 著者名/発表者名
      野田研一、赤坂憲雄編、奥野克巳著
    • 総ページ数
      196
    • 出版者
      玉川大学出版部
    • ISBN
      9784472182075
  • [図書] モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと2020

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      亜紀書房
    • ISBN
      978-4750516615
  • [図書] マンガ人類学講義 ボルネオの森の民には、なぜ感謝も反省も所有もないのか2020

    • 著者名/発表者名
      奥野克巳、MOSA
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      日本実業出版社
    • ISBN
      978-4534058102
  • [図書] 「人新世」時代の文化人類学2020

    • 著者名/発表者名
      大村敬一、湖中真哉編
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      NHK出版
    • ISBN
      978-4595321917

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公開日: 2021-12-27  

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