研究実績の概要 |
台湾法の法令用語をキーとして、中国、韓国、日本の対応用語を特定する作業を継続した。作業を終えたのは、2,000語であり、2018年度の2,200語と合わせて4,300語である。これは、全体の約33%強である。この検討作業は、2020年度も、関係者の協力を得て継続している。 基本六法語彙の対応関係に関する法域間の比較検討のため、日本の六法の全条文をデータとして集め、情報処理によって辞書見出し用の法令用語候補を用意した。用語候補を手作業で検討し、商法と会社法の法令用語の1,208語の見出しを特定した。その作業に基づき、六法の見出しを統合し、複数の法領域で重複して使われている語を整理した。これにより、日本六法で使われている用語2,966語を特定した。統合上の誤差があるため、その精査を現在行っている。 中国、韓国、台湾の六法の辞書見出し用の法令用語候補の解析は2020年度に作業を継続している。 2018年度に、民事訴訟制度の中で実質的な口頭弁論を実施していないのは、日本だけであると確認できたので、中韓台でなぜ、法廷の中で実質的な口頭弁論が発展したのかについて、検討を進めた。この検討成果の一部はSusan Bartie and David Sandomierski eds., the Americanization of Legal Education (NYU Press)として、2020年に公表予定である。 東アジアの法域について、法の的確な比較をするためには、法令を理解するための背景をなす、組織図(例、統治機構)、法過程の流れ図(例、立法プロセス)などの多様な資料を容易に比較できる形で法域横断的に整備する書の量的質的向上が必要であり、大学院留学生が参加する講義で資料を収集した。
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