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2017 年度 実績報告書

支援・再分配政策がもたらす外部効果の政治経済分析

研究課題

研究課題/領域番号 17H00974
研究機関早稲田大学

研究代表者

河野 勝  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70306489)

研究分担者 小林 誉明  横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00384165)
大槻 一統  早稲田大学, 高等研究所, 助教 (00779093)
古城 佳子  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30205398)
建林 正彦  京都大学, 法学研究科, 教授 (30288790)
三村 憲弘  武蔵野大学, 法学部, 准教授 (40453980)
金 慧  千葉大学, 教育学部, 准教授 (60548311)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード国際協力論 / 援助 / 再分配 / サーベイ実験
研究実績の概要

本プロジェクトの初年度は、当初の研究計画に従い、援助が途上国にもたらすベネフィットとコストを援助を受け入れる側の一般の人々がどのように捉えるかを明らかにする理論モデル構築をすることに重点的に取り組んだ。この作業は、理論班を中心としながらも、5月、6月、及び12月に開かれた3回のワークショップを通じて他のプロジェクト参加者からのインプットを反映しながら行われた。また、海外の連携研究者たちとも、彼らが来日した機会をとらえたり、あるいは海外の学会の際に打ち合わせの機会を設けたりして、緊密に連絡を取りつつ進められた。理論モデルは、12月のワークショップまでに完成したものを暫定版とし、その後はモデルの内容を具体的な実験デザインに落とし込む作業に移っている。なお、申請段階から予算が大幅に削減されたので、2年度及び3年度に実施を予定したサーベイ実験の対象国とその規模の再検討を余儀なくされた。様々な観点から参加者全員で討議した結果、もっとも効率的及び効果的な研究推進のためには、サーベイの対象者となるサンプル数を減らすのではなく、対象国を当初の5から4に削減することが最も望ましいとの意見で一致し、2年度にミャンマーとフィリピンで、3年度にベトナムとカンボジアで、それぞれサーベイ実験を実施することに決定した。同じく、予算削減のため、国内におけるサーベイ実験の実施が極めて困難な状況にあることから、2年度の後半に委託先の調査会社から最新の見積もりを取得後に、改めて国内におけるサーベイ実験の実施の方法について再検討することとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画では、初年度に「支援を受け取ることで人々の公共心や市民的活動への貢献を低下させたり自発的・創造的な経済活動を阻害したりして負の外部効果が発生するメカニズムを解明するための理論モデルを構築する」ことを目標と掲げていたが、それは達成された。また「モデル構築の進捗に合わせて、初年度の後半から2年度の前半にかけて、その理論的予測を検証するための仮説を構築し、それを実験デザインに落とし込む作業に進む」という計画も、その通りに進んでいる。また研究計画では、この一連の作業をメンバー全員で慎重に進め、そのための研究会を2 年度前半までに3回開催するとされていたが、それも計画通りに行われた。当初予期していなかった状況としては、申請段階から予算が大きく削減されたことにより、海外及び国内で行うサーベイ実験の規模と回数を、縮小しなければならない必要性が生じた。このため、メンバー全員による再検討の後、海外で行うサーベイ実験を最優先とし、しかも各回のサンプル数を減らすことの悪影響はどうしても避けなければならないとの判断から、対象国を5から4に減らすという決定をした。さらに、国内におけるサーベイ実験の実施については、2年度に委託調査会社からの最新の見積もりを取得した後に、改めてその実施の方法について協議することとした。実験デザインの確定のために、当初の研究計画では「小規模なウェブ調査を(日本においてのみであるが)探索的な目的で2年度前半までに2回実施する」としていたが、これも予算削減に伴い不可能となった。

今後の研究の推進方策

2年度および3年度には、4つの途上国において、それぞれ800~1000 人程度のサンプル回答者に対してサーベイ実験を行う。サーベイ実験を行う際には、事前に研究代表者もしくは分担者・協力者の少なくとも一人が研究目的の説明のため現地を訪れ、実査に関わる調査員たちに対する教育をする予定で、現時点では2年度にミャンマーとフィリピン、3年度にベトナムとカンボジアへ渡航・実施することを計画している。当初の計画通り、サーベイ実験の骨格となる理論モデルが初年度の終わりまでに構築されたので、今後その内容を検証可能な仮説として表現し、さらにそうした仮説をできる限り体系的に捉える実験デザインの構築の作業に取り掛かる。ほかにサーベイに含める質問項目としては、そもそも国際的な支援を受けていることを認識しているか、支援されることを好ましいと思うか、支援が成長や発展に役立っていると評価するかなど、支援についての認識や態度を全般的に捉える項目を検討する。さらに、税負担、公共料金の支払い、政府への信頼、消費行動、勤労意欲、投資性向など、具体的な態度や行動の変化に負の外部効果が現れるパターンを精査し、実験の対象となる国々の政治経済動向、実際に供与されている支援の種類や規模をふまえて、最も適切な実験デザインを確定していく。なお、実験デザイン構築の進捗にあわせて、早稲田大学に設置されている「人を対象とする研究に関する倫理委員会」に、調査と実験を実施することを申請し、同委員会での審査を受ける。2年度の前半に委託先の調査会社の選定を行い、遅くとも夏までには契約をする予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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