当初の目的および計画通りに、アジアの複数の途上国の主要都市で実施したサーベイおよびサーベイ実験を通して収集したデータを整理し、それらの国々の人々が海外から受け取る援助をより積極的に支持したり歓迎したりする諸条件を明らかにすることを試みた。今年度は、研究の初期段階から参画しているアメリカの研究協力者2名(カリフォルニア大学モンティノーラ教授、イリノイ大学ウィンターズ教授)と、とりわけミャンマー、ネパール、インドネシアで収集したデータを比較し分析することを進め、研究成果を学術的な場で報告し発信することを重点的に行ってきた。成果発信としては、すでに昨年度の段階で一本の論文をすでに査読付国際ジャーナルで公刊することができたが、今年度はその論文とは重複しないデータ分析の結果を二つの別の研究論文にまとめる作業を行った。その過程で、2020年度のアメリカ政治学会をはじめとする4つの学会・研究会で報告を行なったが、それぞれにおいて極めて有益なコメントや助言を受けることができた。また、途上国支援に関する新しい研究動向が世界の各方面で生まれつつあることを認識し、関連した研究関心を持つ研究者たちとのネットワークを築くこともできた。
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