研究課題/領域番号 |
17H00984
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 由夏 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (50598480)
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研究分担者 |
田村 善之 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20197586)
岡田 羊祐 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30224033)
岡室 博之 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40251730)
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知的所有権 / ブランド / シグナル |
研究実績の概要 |
論文Imai, Nakata and Ohno: ”A Study of bands using the wine tasting experiment”で著者は通常のシグナル理論とは整合的ではない結果が導出された。より具体的には、消費者のワインを味わう前の事前分布では、ラベルの高級感とワインの香り、味、バランスとは正の関係にあるが、実際のワインでは高級感のあるラベルのボトルにはより劣った香り、味、そしてバランスのワインがあり、事前分布と実際の分布の不一致はシグナル均衡とは整合的ではない。このような結果は、宣伝広告のシグナル理論の現実性に関して重要な問題提起をするものであり、今後結果を説明する新しい理論の構築を行う方向に研究をすすめる。 また、Choo, Imai and Ohno:"A Rational model of brand" では従来のブランド理論をさらに拡張させ、性質の異なる製品を同一ブランドに属させることが最適であることを示す新しいシグナル・モデルを構築した。 岡室、池内:”企業成長のエンジンとしての産学官連携? 知的クラスター政策の評価”では、政府の産学連携の知的クラスターが、参加大学と企業の研究開発を促進したが、それが当該企業の生産性、成長率増加につながらなかったことを実証的に示した。 Macho-Stadler, Matsushima, Shinohara:"Organizational structure and technological investment,"では企業の内部組織の構造とイノベーションの関係を理論的に分析した。また、岡田を中心として独占禁止法の判例分析から、知的財産所有権の分析が引き続き行われている。田村は”知的財産法の理論”、”プラクティス知的財産法Ⅰ特許法”等の書籍を出版するなど法的な分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文Imai, Nakata and Ohno: ”A Study of bands using the wine tasting experiment” で著者は通常のシグナル理論とは整合的ではない結果が導出された。今後は個々の被験者の多様性を考慮に入れたより精緻な実証分析を行う。より具体的には、ワインの経験が豊富である、すでにワインの学習を多く行っている消費者と、まだ経験が浅い消費者のラベルとワインとの評価の関係を分析し、そのようなデータのバリエーションから更に学習効果の実証的検証を行う。すでに異なるタイプの消費者において、ワインのラベルの評価と液体の評価の関係が異なることが分析によって明らかになった。予想外の結果としては、よりワインに経験がある消費者のほうが、ラベルと液体の評価の関係がシグナル理論とは整合的ではないことが判明した。このような結果は、シグナル理論のさらなる理論的発展が望ましいことを示唆している。
Choo, Imai and Ohno:"A Rational model of brand" において新しいシグナル・モデルを構築したが、それを実際のデータを用いて以下に実証的に推定するかを検討する。まず、通常のBLP型需要モデルにおいて、ブランドの価値がどの程度であるかを検証したが、それが製品の総価値のかなり大きな比重を占めることを確認した。今後はそのブランド価値がどのような要因によって決定されていくか、更に分析を深めていく。
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今後の研究の推進方策 |
論文Imai, Nakata and Ohno: ”A Study of bands using the wine tasting experiment”では、更に人々の購買行動は、Ackerberg (2001)によって分析されたような学習モデルと整合的な結果となっている。学習モデルはシグナル均衡の土台となるモデルであるので、そのモデルと整合的な購買行動が示唆することは、ワインの学習はモデルと整合的に行われているが、それが通常のシグナル均衡をもたらさないことである。そのような点をさらに掘り下げ、異なる消費者の購買行動から消費者の学習行動に関して新たな実証的エビデンスを求める。
現在、今井はブランドの価値によって決定されるマーク・アップの企業データを用いた新しい推定法を開発しており、それによって、ブランドの効果に関するさらなる実証的知見を企業データにおいて獲得していく。
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