研究課題
本研究では、知的所有権の経済問題をを広く捉え、研究開発と産業構造との関係性、研究開発と特許との関係、そしてブランドの効果等の研究を理論的、そして実証的に行った。特に本研究では企業の知的所有を研究開発の成果だけではなく、ブランド、そして顧客情報として捉える。理論的には、寡占企業のモデルにおける川上、川下企業の研究開発の効果を考察し、研究開発が産業構造にも深く関係することを明らかにしている。また、政府の研究開発促進政策の中では都道府県の研究開発助成が企業の生産性の向上に効果がある他に、他の政府の助成金との相乗効果があることがわかった。さらに、政府の研究開発助成政策は他県の顧客企業との関係を増やすスピル・オーバー効果もあることが検証された。また、本研究では、ワインとラベルがランダムに組み合わせられたものと、実際に販売されているワインとラベルの組み合わせを別々に試飲してもらう実験を行うことによって、ブランドのシグナル効果をワインの試飲実験によって検証し、実際に販売されているワインでは、ワインのラベルの高級感と液体の評価が負の関係にあるという、宣伝広告のシグナル理論とは整合的ではない結果が得られた。考えられる理由の一つは、企業が高級なラベルの瓶の中に、質の低いワインを入れていることである。しかし、それでは被験者が、市販のワインを、ラベルと液体がランダムに組み合わせられたワインより高く評価していることと整合的ではない。そこでその理由として、ブランドのマーケティング上の制約を考察する。つまり、ワインの高級感を出すことと、ワインの個性を知らせることは代替関係にあることがより結果を説明できることがわかった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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