研究課題/領域番号 |
17H00995
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆敏 政策研究大学院大学, 政策研究科, 名誉教授 (30203144)
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研究分担者 |
山田 昌弘 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (60732435)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 為替レート / 高頻度取引 / マイクロストラクチャー / 仲値 / 裁定取引 / 流動性 / 価格発見 / 取引実行リスク |
研究実績の概要 |
高頻度取引(アルゴリズム取引)が市場の効率性に与える影響について、定期的な政府経済統計(例えばインフレ率、GDP)発表の前後における、為替レートと為替取引量の変化を分析することで、高頻度取引を行うトレーダーの存在が市場の質(流動性および価格発見)に与える影響を検証した。為替レートに大きな影響を与える新しい情報が市場に伝えられると、その発表情報のうち、予期されていなかった部分(サプライズ)に対して、トレーダーは反応して売買を行う。研究上の注目点は、買い指値と売り指値がどのように変化するか、取引が買い指値をヒットして行われる(売り圧力)のか、売り指値をヒットして行われる(買い圧力)のか、流動性(売買指値スプレッド)がどのように変化するのか、サプライズへの反応が速くなるのかどうか、という点である。1998年から2017年までのユーロ・ドル為替レート・取引量のデータを用いて、マクロ統計発表前後の流動性と価格発見を検討した。 マクロ統計発表直前には流動性が減少し、発表後に新しい情報が消化された(価格発見)後では、流動性は回復する。これは理論どおりデータでも確認された。また2017年において流動性は統計発表後10秒以内に8割回復し、価格発見の6割が30秒以内に発生している。もっとも20年間に亘る経時的変化としては、価格発見の速度は多少早くなったといえるに過ぎず、流動性の回復についてはほとんど変わっていない。ただし取引量は年々低下しており、それをコントロールすると価格発見の速度は上がっていたといえる。高頻度取引による影響を示唆する発見としては、統計発表後に即座に指値注文を出すトレーダーの増加は必ずしも価格発見に貢献していないことがわかった。このような注文行動は高頻度取引トレーダーによるものである蓋然性が高いと考えると、高頻度取引トレーダーの増加が市場の質を一様に高めるとまではいえない。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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備考 |
本科学研究費の終了に伴い、科学研究費期間中の国際コンファレンス開催をまとめてアーカイブした。
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