研究課題
発声行動の動機づけが脳内でどのように生成され、自発的な発声につながるのかを明らかにするために、鳴禽の腹側被蓋野・黒質VTA/SNcと大脳基底核Area Xから発声行動中の神経活動を計測した。これまでの研究で、大脳基底核Area Xにおいて、発声の開始に先行する数秒前から緩やかな神経活動の上昇を示すニューロンを見出した。これに対し、腹側被蓋野・黒質VTA/SNcでは発声の開始時に一過的な活動の上昇を示すニューロンを見出した。今年度は引き続きVTA/SNcから神経活動計測を進め、発声中の鳴禽から約90個のニューロン活動を記録した。このVTA/SNcのニューロンの約40%が発声に関連した神経活動を示し、この発声関連ニューロンは活動の違いに基づいてさらに4つの細胞型に分類することができた。発声関連活動を示したニューロンの50%は発声開始時に一過的な活動の上昇を示し、30%のニューロンは発声行動中に持続的な発火頻度の上昇を示した。これに対し、10%のニューロンは発声開始時に一過的に発火を停止し、残りの10%は発声中に持続的な発火頻度の低下を示した。これらの結果から、VTA/SNcにおいて発声関連活動を示すニューロンの活動様式は多岐にわたるが、その約半数が発声開始時に一過的な活動の上昇を示す「発声開始」に関わるニューロンであることが明らかになった。最近の当該分野における研究から、鳴禽の歌制御神経核HVCやLMANのニューロンも発声に先行する数秒前からニューロン活動を徐々に変化させることが知られている。歌制御神経核に対するドパミンの一過的な放出が最終的な引き金となって、自発的な発声行動が開始されることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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