研究課題/領域番号 |
17H01031
|
研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
海津 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研究企画部, 主任研究員 (00342957)
|
研究分担者 |
玉木 宗久 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 主任研究員 (00332172)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 学習困難 / 予防的支援 / アセスメント / 地域ワイド / 多層指導モデル |
研究実績の概要 |
本研究においては8つの下位研究を設定している(「Web上でのタイムリーな情報提供(ユーザーとの双方向性を重視)」「実践研究協議会の開催(MIM研究会/MIM理解セミナーの実施)」「教材・教師支援ツールの開発」「リーダー養成・研修の実施(MIM実践セミナー)/地域間情報共有会(MIMサミット)の開催」「3rdステージ児童のつまずき解明」「算数版MIM-PMの実用化」「読み版MIM-PMの他学年への適用」「MIMデジタル版の活用,学習履歴管理システムの実用化」)。今年度の計画を8つ全ての下位研究において達成できた。なかでも「実践研究協議会の開催」や「地域間情報共有会の実施」については,既に3回,全国各所(東京,宮城,福岡)で実施することができ,研究知見の提供はもちろんのこと,理解・啓発,さらには,本研究の根幹でもある地域協働支援の実現に向けての礎が構築できた。これらMIM理解/実践セミナーやMIMサミットについては参加者に対してアンケートを実施している。サミットでは,98%が最も高い評価(「有益であった」)をしていた(参加者37名)。セミナーでは99%が最も高い評価をしていた(参加者118名)。今後もこうしたサミットやセミナーを希望すると回答した割合も97%であり,教育現場のニーズに応えるべく継続して実施してく予定である。 もう一つの大きな成果は「3rdステージ児童のつまずき解明」である。MIM-PMというアセスメントで捉えられる特性をより明確にするため,アイ・トラッキングを用いての研究を行った。1年生の年度初め時点でのパフォーマンスと,年度末時点でのパフォーマンスの測定を行い,発達的経過を捉えた。100名以上のデータが得られたが,国内外の研究をみてもこれほど多くの子どものアイ・トラッキングデータを収集しているものも少なく,今後,国際的に研究発表を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては8つの下位研究を設定している。「Web上でのタイムリーな情報提供(ユーザーとの双方向性を重視)」については,Webサイトに寄せられた質問への回答や,要望への対応を行った。また,MIMサミットやMIM理解・実践セミナーの告知・募集などもWebサイトを通じて行い,多くの指導主事および教師が参加した。「実践研究協議会の開催(MIM研究会/MIM理解セミナーの実施)」については,MIM研究会は3カ月に一度,定期的に開催,MIM理解セミナーについては,2回行った。「教材・教師支援ツールの開発」については,MIM理解セミナーなどでアンケート調査を実施し,教師の属性やMIMの経験の差によって,どのようなニーズがあるのかについて検討しているところである。「リーダー養成・研修の実施(MIM実践セミナー)/地域間情報共有会(MIMサミット)の開催」では,MIM実践セミナーとMIMサミットを一度ずつ行った。「3rdステージ児童のつまずき解明」では,約200名の1,2年生に対し,アイ・トラッキングを実施し,データを収集した。「算数版MIM-PMの実用化」および「読み版MIM-PMの他学年への適用」については3年生~6年生に対してもデータ収集を行った。「MIMデジタル版の活用,学習履歴管理システムの実用化」)についても実証実験を行うため複数地域を指定し(栃木,東京,福岡),データの収集を行っているところである。このように,当初予定していた今年度の研究計画を8つ全ての下位研究において達成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度が本研究の初年度であったが,設定している8つの下位研究全てにおいて,良いスタートを切ることができている。平成30年度もこれを踏襲しながら行う(MIM研究会の実施/MIM理解セミナーの実施,MIM実践セミナー/MIMサミットの実施)。
また,平成29年度に収集したデータがある研究については,さらにデータを蓄積するもの(「算数版MIM-PMの実用化」に向けたデータ収集,「MIMデジタル版の活用,学習履歴管理システムの実用化」に向けたデータ収集),または,平成29年度のデータを分析し,論文にまとめるもの(「3rdステージ児童のつまずき解明」)とに分けて着手する予定である。
|