研究課題/領域番号 |
17H01031
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
海津 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研究企画部, 主任研究員 (00342957)
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研究分担者 |
玉木 宗久 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 発達障害教育推進センター, 主任研究員 (00332172)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学習困難 / 予防的支援 / アセスメント / 地域ワイド / 多層指導モデル |
研究実績の概要 |
本研究においては8つの下位研究を設定している(「web上でのタイムリーな情報提供(ユーザーとの双方向性を重視)」「実践研究協議会の開催(MIM研究会 /MIM理解セミナー)」「教材・教師支援ツールの開発」「リーダー養成・研修の実施(MIM実践セミナー)/地域間情報共有会の開催(MIMサミット)」「3rdステージ児童のつまずき解明」「算数版MIM-PMの実用化」「読み版MIM-PMの他学年への適用」「MIMデジタル版の活用,学習履歴管理システムの実用化」)。今年度も8つ全ての下位研究において当初の計画を達成できた。具体的には「MIM理解/実践セミナーの開催」や「MIMサミットの開催」については,年間4回,全国各所(山口,福岡,東京は2回)で実施することができ,研究知見の提供はもちろんのこと,理解・啓発,さらには,本研究の根幹でもある地域協働支援の実現が軌道に乗っている。これらMIM理解セミナーやMIM実践セミナー,MIMサミットについては参加者に対してアンケートを実施しているが,教育行政に関わる者を対象としたMIMサミットでは,昨年度よりも参加者が約1.5倍増え,93%が最も高い評価(「有益であった」)をしていた(参加者52名)。3カ所で開催されたMIM理解セミナーおよびMIM実践セミナーでは,昨年度よりも参加者が約4倍に増え,90%が最も高い評価をしていた(参加者460名)。特に自治体の教育行政担当者が結集するMIMサミットでは,このサミットでの知見を翌年度からの施策に活かす自治体も多く,先行地域と今後取り組もうとしている自治体との連携・協働を生み出す場となっており,スムーズな施策運用へとつながっている。算数版MIM-PMについては1~6年生まで約1900名のデータを定点的に収集することができた。あわせて,これまで1,2年生のみの標準化に留まっていた読み版についても3~6年生において,約1200のデータ収集ができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては8つの下位研究を設定している。「web上でのタイムリーな情報提供(ユーザーとの双方向性を重視)」については,webサイトに寄せられた質問への回答や,要望への対応,さらにはユーザーから本研究に関した応用教材等の提供もあり,積極的にこれら有益な情報をアップデイトした。「実践研究協議会の開催(MIM研究会/MIM理解セミナー)」については,MIM研究会を今年度も3カ月に一度,定期的に開催し,若手教員や中堅教員の専門性向上にもつながっている。「教材・教師支援ツールの開発」については,既に本研究の知見を実践している教員からの教材・教師支援ツールに関する知見提供もあり,検討を行った後(オーソライズ),webサイトでの提供を行っている。「リーダー養成・研修の実施(MIM実践セミナー)/地域間情報共有会の開催(MIMサミット)」では,MIM理解セミナーのアドバンスコースともいえるMIM実践セミナーと,教育行政に関わる者を対象としたMIMサミットを計3回行った。「3rdステージ児童のつまずき解明」では,約200名の1,2年生に対し,アイ・トラッキングを実施し,収集したデータについて分析を行っているところである。「算数版MIM-PMの実用化」および「読み版MIM-PMの他学年への適用」については3年生~6年生に対して,今年度もデータ収集を行った。「MIMデジタル版の活用,学習履歴管理システムの実用化」についても実証実験を行い,あわせて活用事例集の作成も行っているところである。このように,当初予定していた今年度の研究計画を8つ全ての下位研究において達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,3カ年の研究助成期間の内のちょうど中間であった。昨年度,礎を構築できた地域主導での「MIM理解セミナー」の開催も引き続き行うことができた。「MIM実践セミナー」について順調に開催できたが,2019年度は,既に開催を希望する自治体が手が挙げており(3箇所),それらの自治体と協働して,研究知見の普及・教育現場における課題への貢献ができればと考えている。 また,「算数版MIM-PMの実用化」や「読み版MIM-PMの標準化学年の拡大」についても,これまでの2カ年でデータを収集できているので,今後はこのデータを基に標準化を行うとともに,発達段階にみられる算数や読みの基礎的能力の解明を行っていく予定である。 「MIMデジタル版の活用,学習履歴管理システムの実用化」に向けては,既に事例収集のためのフォーマットを作成し,実践した教員に執筆を依頼しているところである。これらをモデル事例としてさらに収集を進めていきたい。 「3rdステージ児童のつまずき解明」については,既に収集したデータの分析に取りかかっているところであり,これらをまとめ論文にすることをめざす。
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