研究課題/領域番号 |
17H01033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
磯部 寛之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (30302805)
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研究分担者 |
河野 裕彦 東北大学, 理学研究科, 教授 (70178226)
中井 祐介 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (90596842)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分子機械 / ナノチューブ / フラーレン / 分子ベアリング / 固体 |
研究実績の概要 |
「固体内慣性運動を実現する湾曲π面分子の構造科学」と題した本研究は,固体内分子機械という学際領域での新現象・新機能の発見・開拓を目指すものであり,1. 固体内慣性運動の実証・精密検証,2. 固体内慣性運動の一般化に向けた理論的解析およびそのフィードバックに基づく新奇ナノ分子機械の設計・合成, 3. 固体内慣性運動のもたらす新現象・新機能の探索,の三つの主題項目について検討を進める計画である.本年度も昨年度に引き続き,研究全体の根幹となる項目1について主に検討を進めた.分子ベアリング内部の回転子の回転挙動の精密解析を行い,この回転が超高速で慣性回転していることを見出し,本研究課題で想定した固体内慣性回転を実証することに成功した.さらに,項目2に関連して,新たな分子ベアリングの構築と動的挙動の解明も進めた.特に多環式芳香族炭化水素分子を回転子とすることにより,高速単軸回転を実現した.その他,柔軟な分子ベアリングの溶液中での動的挙動の解明や新たな分子ベアリング構築につながる新奇筒状分子の合成などを遂行した.以上,本年度の研究では,本研究において最も重要な,異常な固体内慣性回転を実証することに成功したのみならず,その構造と分子運動の多様化をも実現した.これらの成果をもとに,最終年度では項目3に特に注力し,異常な固体内慣性回転のもたらす新現象・新機能の探索に注力して研究を進める.応用も見越した大きな成果に繋げうるものと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の大きな目標である固体内慣性回転の実証を,研究二年目にして達成することができた.想定よりも大幅に速い進捗であるといえる.さらに,項目2についても一定の成果を得,複数の新しい分子ベアリングの構築・動的挙動解析に成功している.以上より,当初の計画以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
研究全般について大きな変更の必要はせず,引き続き研究を遂行する.本研究課題での主要な項目のうち,項目1. 固体内慣性運動の実証・精密検証,項目2. 固体内慣性運動の一般化に向けた理論的解析およびそのフィードバックに基づく新奇ナノ分子機械の設計・合成,について重要な成果が得られているため,最終年度では項目3. 固体内慣性運動のもたらす新現象・新機能の探索に注力して研究を遂行する.
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