研究課題
研究代表者らが見出した、シングルドメインソフトマターの構造、相挙動、粘弾性の解明からスタートし、その展開(課題1)、発展研究(課題2)、およびその融合研究を通じ、ソフトマターの基礎科学に新たなフロンティアを築くことを目的とする。課題1では、自発的シングルドメイン化をもたらす構造要素とメカニズム、さらにそこに潜む物理化学を探求し、シングルドメインソフトマターを形成する分子ライブラリを構築する。課題2では、音波浮遊技術をソフトマターの構造化に適用し、シングルドメイン化または超精密分子配向制御を可能にする「分子自己集合場」を設計する。課題1では、分子凝縮相に関する既存概念では説明しえないシングルドメインを形成するシステムに関する研究過程で新たに発見した、ディスコティック液晶カラムの巨視的力学応答について検討した。具体的には、トリフェニレンにフルオロアルキル鎖を導入した液晶試料を加熱溶融し、等方性液体相から冷却すると、垂直配向したカラムナー液晶が得られる。ところがこの誘導体に剪断力を与えると、液晶カラムの配向が基板に対して水平配向へと一様に変化した。既存のディスコティックカラムナー液晶はこのような力学応答性は示さない。詳細な検討から、今回見出した液晶の異常な力学挙動の機構の解明にも至っている。加えて、お椀型分子をコアとする液晶が、剪断力に応じてまさに積み重ねたお椀のような集団運動を示すことを発見したほか、おわん分子の側鎖にイオン官能基を導入した新規誘導体において、分子の集合化における新挙動も見出している。課題2では、本研究で開発した音波浮遊溶融装置について論文誌や学会を通じて広く国内外に発信した。本装置を用いた実験により、液晶や高分子がmmサイズのシングルドメインの球状構造体が得られることを示したほか、浮遊させた有機化合物の混合液体中で分子が一様に配向することを発見している。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (4件)
Chem. Commun.
巻: 57 ページ: 3901-3904
10.1039/D1CC01092A
Chem. Sci.
巻: 11 ページ: 8388-8393
10.1039/D0SC02836C
International Journal of Microgravity Science and Application
巻: 37 ページ: 370202
10.15011/jasma.37.2.370202
SPring-8 Research Frontiers 2019
巻: 22 ページ: 54-55
http://fuku.res.titech.ac.jp
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/D5823
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/D5881
http://rud.spring8.or.jp/member/0020758.html