本研究では面内p-n接合とゲート制御(横型)量子ドットを融合した素子を実現し、量子ドットのスピン状態から、再結合によって放出される光子の偏光状態への量子状態変換を実現することが目的である。またその時の変換のコヒーレンスの保持など変換の物理を解明することも目指す。本年度は、まず面内p-n接合とゲート制御(横型)量子ドットを融合を目指した試料作製と測定系の構築に着手した。面内p-n接合を実現するために、不純物を添加していないアンドープGaAs量子井戸に、ゲート電圧でp型領域とn型領域を誘起し、その界面でp-n接合を実現する方針を選択した。アンドープ基板では横型量子ドットを形成する技術が確立しており、本研究の目標達成に適した方針である。そのためのアンドープ基板の成長を、協力研究者であるドイツ ルール大のWieck教授に依頼した。この時、通常一般的に用いられる(001)面上の量子井戸の他に、将来、量子状態転実現に必要と考えている(110)面上の量子井戸も成長を行った。一方で、アンドープ基板に対するオーミック接触作製技術の開発に重点を置き、p型とn型を制御する表面ゲート電極がオーミック電極に遮蔽されず、オーミック電極までまできちんと量子井戸中に2次元キャリアを誘起して、そことオーミック電極が電気的接触が確立できるよう、ウェットエッチングと電極材料の斜め蒸着を組み合わせたオーミック電極作製法を開発した。また回折格子を導入し、p-n接合からのエレクトロルミネッセンスの検出と分光のための測定系の構築に着手した。
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