| 研究課題/領域番号 |
17H01052
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
水口 将輝 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50397759)
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| 研究分担者 |
小野 新平 一般財団法人電力中央研究所, その他部局等, その他 (30371298)
大江 純一郎 東邦大学, 理学部, 准教授 (40510251)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | スピンエレクトロニクス |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、固体金属やイオン液体において、巨大熱電効果などの革新的な熱磁気機能を創出することである。我々はこれまでに、いくつかの熱磁気効果に着目し、マクロなサイズにおいてそれらの特性を明らかにし、新機能創出の可能性を示してきた。そこで本研究では、試料をナノスケールまで微小化することにより、熱とスピンの相関を顕わにし、効率的にスピンカロリトロニクス機能を引き出すことをねらう。今年度は、固体金属における異常ネルンスト効果の微視的機構についてモデル構築を行うことを目指した。鉄白金合金薄膜に熱勾配を与えた状態で測定したネルンスト効果の実験結果について、スピン波がネルンスト効果に与える影響を考慮したシミュレーションで再現することに成功した。また、直径がナノメートルサイズである半導体粒子である量子ドットを用いて、シリコン基板上に膜厚方向に6層程度連結積層させたナノ超構造体を作製することに成功し、本構造のスピンカロリトロニクスへの応用の道筋を拓くことができた。さらに、反強磁性体中のスピン波伝導について理論的な研究を行った。反強磁性スピン波の運ぶエネルギー流について、スピン波干渉効果に由来する局在効果によって熱伝導度が抑制されることを見出した。このスピン波局在効果は、系の時間反転対称性によるものであるため、外部磁場によって破られる。この結果は、「熱流の磁気制御」という新しい概念を見出したことを意味する。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異常ネルンスト効果の微視的機構解明とナノスケール巨大熱電機能素子の創製などがおおむね計画通りに進んでいる。また、鉄白金素子におけるイオン液体を用いた熱電異方性変調効果の観測を行うための試料の作製とその構造の最適化が進んでいる。さらに、反強磁性体中のスピン波伝導についての理論構築も進んでおり、その進捗度もおおむね順調であるため。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、イオン液体を用いた鉄白金素子における熱電異方性変調効果の観測行う。これにより、磁気異方性と異常ネルンスト効果の関係を調べる上で重要な、単一物質において異方性だけを漸次的に変化させることが可能となる。その際、効率的に電界を印加するため、イオン液体を用いることにより金属との界面付近に生じる電気二重層を介して電荷分布を変化させ、磁気異方性を変化させる。また、半導体粒子から構成される量子ドットを用いた熱電効果の測定も進める。さらに、スピン波局在効果の理論構築についても詳細に研究を進める。
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