三次元酸化物ナノ構造によるナノ電子相制御デバイスの創製

2019 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 17H01054
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 応用物性
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 強相関電子系 / 機能性酸化物 / 電子相転移 / 三次元ナノ構造 / ナノエレクトロニクス

研究成果の概要

電子相変化(金属―絶縁体相転移)を発現する機能性酸化物を対象とし、サブ10nmスケールの三次元ナノ構造 を構築し、巨大物性応答の創出を目的とし次の成果を得た。
●20nm幅のナノギャップ電極を有する酸化バナジウム（VO2）薄膜２端子デバイスを作製し、非常に急峻な相転移スイッチング観測、３次元方向全てが10nmサイズを持つマグネタイト（Fe3O4）のナノ構造体作製を実現し、極微ナノ試料における初めて相転移特性を観察、●VO2マイクロワイヤ/hBN/WSe2/、VO2ナノワイヤ/有機誘電体ハイブリッドFETの作成に成功、●新電子相変化材料であるNi酸化物イオン液体電界効果トランジスタ作製に成功。

自由記述の分野

応用物性・ナノ機能材料科学

研究成果の学術的意義や社会的意義

遷移金属酸化物は、僅かな環境変化(温度、磁場、キャリア濃度)で、金属相、強磁性、高温超伝導などへ相転移する。この変化は劇的であり、新デバイス概念「Beyond CMOS」において、巨大スイッチング、超高速動作が可能な次世代デバイスの創製が期待されている。また本物質系の興味深い性質はSi半導体と大きく異なり10nm以下のナノ構造体であっても巨大スイッチングを示すと予測され、ムーアの限界以下のサイズでも魅力的なデバイス動作が期待されており、その実現の意義は大きい。本研究ではその実現に役立つ知見を得た。