研究課題
2020年度では,①新規結像光学系アライメント法の高度化,②グレイディッド多層膜成膜技術の高度化,③性能評価実験,④形状可変ミラーの検討,⑤新規光学系の検討 を実施した.①では,複数のミラーを必要精度でアライメントできる,X線波面計測ベースの手法を確立しこれを高度化した.格子干渉計やタイコグラフィ,位相回復法を導入・検討し,正確な2次元波面収差の計測を可能であることを実験で確かめた.これに基づいたミラーアライメントが可能であることを実験で示した.②では,昨年度に引き続き,多層膜成膜装置の精度検証を進めると共に,その精度向上を図った.また,様々な材料の多層膜を作製し,界面粗さ特性の評価を行った.最適な材料の探索によって,高入射角条件下でも高い反射率を持つ多層膜を得た.③では,①②の完成度を評価するために,SPring-8にてX線結像実験を行った.テストチャート像を拡大結像することでその分解能や視野特性を評価した.最終的に,約20nmの線幅の解像に成功した.また,焦点方向に試料位置を変化させたデータ(フォーカススタック)から試料の位相を再構成することを試みた.試料厚みから推測される位相差の検出に成功した.④では,形状可変ミラーを用いた能動性を有するX線結像光学系をテストした.ピエゾバイモルフミラーを作製し,変形性能やドリフトを評価した.印加電圧に対する応答関数を得ることができ,これは有限要素法で予想される値をほとんど一致した.⑤では,アライメント問題を解決できる新しい結像光学系の設計・シミュレーションを実施した.必要精度や像特性の評価を行い,高い実用性を有していることを確認した.
2: おおむね順調に進展している
ミラー作製,ミラーアライメント,多層膜成膜,顕微鏡構築を進めることができ,計画は順調に進んでいる.
今後は,SPring-8における性能評価実験と形状可変ミラーの導入などを進め,顕微鏡の更なる高精度化を進める.また,新型結像光学系の実用化についても検討を進める.
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巻: 20 ページ: 7356~7356
10.3390/s20247356
https://x-ray.mp.pse.nagoya-u.ac.jp/