現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標準試料として、パラジウム、錫、カドミウム等の低エネルギー領域に中性子共鳴を持つ元素(核種)のほか、中性子散乱断面積が大きい元素(核種)としてカーボン、アクリル(水素の試料として)試料を準備した。昨年度に開発した中性子フィルターは、ギャップ高として0(ブランク),10, 20, 30, 112, 224, 920, 1818μmであり、これらと標準試料を用いた実験を大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)に設置された中性子核反応測定装置(ANNRI)において行った。実験では、クラスターGe検出器2台のほか、同軸型Ge検出器8台と用い、飛行時間法を用いた即発ガンマ線測定(TOF-PGA)を行った。また、ガンマ線スペクトル等の解析ソフトにパイルアップ補正やデッドタイム補正などを組み込む高度化、核種毎に異なるガンマ線や中性子共鳴のエネルギー等に関するデータベースの整備なども予定通りに進んだ。開発した解析ソフトを用いてTOF-PGA実験で得られたデータの解析を進めており、解析ソフトが正常に機能していることを確かめるとともに、中性子フィルターの評価等を計画通り進めることができた。さらに、これまでのエネルギー固定の中性子フィルターではなく、冷から熱外領域程度までをカバーする中性子フィルターの開発を行った。この新中性子フィルターを用いた予備実験も行い、設計した性能が得られていることを確認出来た。
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