研究課題/領域番号 |
17H01101
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千葉 柾司 東北大学, 理学研究科, 教授 (50217246)
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研究分担者 |
須佐 元 甲南大学, 理工学部, 教授 (00323262)
小宮山 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (20370108)
石山 智明 千葉大学, 統合情報センター, 准教授 (90616426)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超金属欠乏星 |
研究実績の概要 |
宇宙の初代星や第2世代の星々はどのようにして生まれたのであろうか。また、このような星々は現在において銀河系のどこにどれだけ残存しているのだろうか。本研究の目的は、これらの古い星の候補天体を系統的な測光観測で検出して解析し、理論計算の結果と比較しながら宇宙初期における星形成の物理過程と関連する階層的合体による銀河形成史を解明することを目的とする。このような古い星は超金属欠乏星として存在する予想から、これらを選択的に抽出するために、これらの星に特徴的な波長帯に合わせた狭帯域フィルターを製作し、すばる望遠鏡超広視野カメラHSCに装着して、銀河系古成分恒星系(バルジ、ハロー、矮小楕円体銀河)の系統的な測光観測を推進する。そして、この観測によって得られる超金属欠乏星の統計解析を行い、初代星の形成理論と銀河形成論に基づいた大規模理論シミュレーション結果と比較検討することにより、銀河初期の星形成史を解明することを目標とする。 本年度は、前年度に続いてすばるHSC用狭帯域フィルターを1枚作成した。これは、恒星大気の炭素のアバンダンスを測定できるもので、前年度に作成したフィルターと組み合わせて、超金属欠乏星の候補天体を検出できるとともにその炭素と鉄の組成比を測定できるものである。この結果、狭帯域フィルター2枚完成することができた。また、これらのフィルターの特性を考慮して、実際の探査観測の検討を行うことができた。理論研究も順調に推進しており、大規模なシミュレーションを実施して初代星の質量分布や空間分布に関する知見を得ることができた。さらに、これまでの研究成果について、内外の研究会や科学雑誌にて発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すばる望遠鏡の超広視野カメラに装着する狭帯域フィルターは、前年度に作成したものに加えて今年度1枚作成でき、当初の予定である2枚のセットを準備することができた。ただし、フィルターに装着する丸枠の準備にメーカーの都合で時間を要したため、当初の計画に多少の遅れが生じた。また、これらのフィルターの特性に適応した観測計画の検討も進めることができた。また、理論的な研究、特に大規模シミュレーションのに関しても滞りなく実施されており、おおむね順調と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
完成した2枚の狭帯域フィルターをすばる望遠鏡の超広視野カメラに装着して、実際に超金属欠乏星の探査観測を行えるように準備する。観測方法・計画についても十分な検討を進める。理論研究も続けて実施し、様々な暗黒物質の場合の大規模構造の違いとそれに基づく初代星の形成過程の違い、初代星の質量分布に関するより総合的な知見について獲得する。
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