研究課題/領域番号 |
17H01115
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
関本 裕太郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (70262152)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 宇宙マイクロ波背景放射 / Bモード偏光観測 / ミリ波広視野光学系 / Siレンズ / 極低温 / 広帯域反射防止 |
研究実績の概要 |
宇宙マイクロ波背景放射(CMB) の偏光観測は、インフレーションによって生じた原始重力波の痕跡 (B-mode 偏光) を検出することができる。そのために広視野かつ広帯域のミリ波望遠鏡を開発し、衛星に搭載して全天スキャン観測すれば良い。高い屈折率(n=3.4)を持ちかつ低損失のシリコン(Si) レンズに、広帯域反射防止膜を加工することにより、CMB 偏光観測衛星LiteBIRDの高周波側を観測する広視野かつコンパクトな望遠鏡を開発する。観測周波数100 - 400 GHz をカバーし、星間ダスト放射を効率的に差し引く。迷光や多重反射を抑えた極低温(5K) 望遠鏡の設計、製作及び評価を行う。本研究により、他のCMB偏光実験や広視野ミリ波望遠鏡の焦点面集光部にも応用可能となる。本年度はいくつかの重要な開発成果を得た。 1) 大型柱状晶シリコンを入手し、大口径(300mm)レンズを製作した。また、この柱状晶シリコンは、低温にてロスが小さいことを測定で確かめた。2) Siレンズへサブ波長構造による反射防止加工を施した。このサブ波長構造は、くさび型にすることで、広帯域化を図っている。3) LiteBIRD高周波望遠鏡の光学系設計を進めた。LiteBIRD低周波望遠鏡と組み合わせることにより、銀河面からの前景放射を取り除くのに最適化されている。この高周波望遠鏡は衛星搭載を考えたコンパクトかつ軽量の設計となっている。4) 広視野かつ広帯域のミリ波光学系の設計解を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記したが、本年度はいくつかの開発を進めることに成功した。 1) 大型Si基板を入手し、大型(300mm)レンズを製作した 2) Siレンズへサブ波長構造による反射防止加工を施した。 3) LiteBIRD高周波望遠鏡の光学系設計を重点的に進めた。 4) 広視野ミリ波光学系の設計を行った。 これらは、宇宙マイクロ波背景放射CMBの偏光観測にとって重要な開発成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究計画に記したLiteBIRD高周波望遠鏡に向けた開発を進めていく。
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