研究課題/領域番号 |
17H01117
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
中屋 秀彦 国立天文台, 先端技術センター, 助教 (70450179)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近赤外線検出器 |
研究実績の概要 |
工業用に既に普及しているインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)検出器を超広視野天文観測に用いるため、これまでに低ノイズ化検証のための128x128画素の小面積素子、小画素大面積化検証のための1280x1280画素の大面積素子を試作した。これらの冷却読み出し試験の結果、小面積素子でもノイズがわずかに要求仕様を上回り、大面積素子では更に悪化する結果となっていた。そのため、より微細なCMOS製造プロセスを採用することにより、さらなる低ノイズ化をはかることにした。 また、大面積素子では、小面積素子には見られなかった固定パターンがあることがわかっていた。調査の結果、残像によるパターンであることがわかりつつあったが、低ノイズ化検証用CMOS回路の試作を行う前に、固定パターンがCMOS回路に起因するものではないことを明らかにする必要があった。そこで、大面積素子のCMOS回路に中サイズのセンサーを貼り合わせた検証用素子を試作して調査することにした。冷却して試験をした結果、検証用素子には枠模様がほとんど見られないことがわかり、枠模様がCMOS回路に起因するものではないことを明らかすることができた。 そこで、より微細なCMOS製造プロセスを用いた低ノイズ化を検証するための小面積素子の仕様を検討し、128x128x15um画素の小面積CMOS回路を試作した。冷却して試験をした結果、設計通り機能していること、前回の小面積素子より低ノイズが期待される測定結果を得た。 その他、モザイク用セラミックキャリアの設計、オーバーサンプリング対応エレクトロニクスへの置き換えも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
問題点の切り分けのための追加試験を行った結果、低ノイズ化検証用小型素子のCMOS回路の設計開始が当初の予定よりも遅れてしまったが、最終的には遅れを取り戻すことができ、年度目標のCMOS回路を製造することができた。その結果、次年度の計画に遅延を生じさせることなくつなげることができた。したがって、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度製造した低ノイズ検証用小面積CMOS回路にインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)センサーを貼り合わせ、低温に冷却して駆動試験を行い性能を評価する。また、これまでに製造した大面積素子の評価試験を引き続き行う。これらの試験結果から、最終年度に製造する大面積素子の仕様を検討する。
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