これまでに大面積素子を試作し、小面積素子よりもノイズが悪化し残像が大きいことが問題となっていた。また、3辺バタブルパッケージへの搭載も課題となっていた。昨年度までに、さらなる低ノイズ化を実現するため、より微細なCMOSプロセスによる小面積素子を試作し、低ノイズ化を実現できることを確認した。3辺バタブルパッケージについては、試作を進め搭載可能な状況とすることができた。 今年度試作した大面積素子では、上記の新しいCMOSプロセスの採用、残像の出ない組立方法、3辺バタブルパッケージへの搭載を行った。これを冷却して試験した結果、読み出しノイズはダブルサンプリングで10e-前後、マルチサンプリングでは4e-前後であることを確認した。計画開始時に定めた要求仕様を上回り、目標として設定した値を達成することができた。残像は無視できる程度となり、暗電流はこれまで小面積素子で確認していた0.1e-/s/pix以下を検出器温度130Kで達成していることを確認した。3辺バタブルパッケージへの搭載も実現し、上記の達成値は3辺バタブルパッケージ搭載素子の測定結果となっている。光入射面の平面度についても良い結果を得ているが、今後より多くのサンプルでの確認が必要である。その他、市販サーマルカットフィルターの性能測定なども行った。 以上の通り、広視野モザイクカメラを実現する上で必要となる主な仕様を達成した素子を製造することができた。今後も評価を続け、素子のアップデートを行うこともありうるが、本年度で素子の完成に至ることができた。
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