研究課題/領域番号 |
17H01118
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
中村 文隆 国立天文台, 理論研究部, 准教授 (20291354)
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研究分担者 |
小川 英夫 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員教授 (20022717)
土橋 一仁 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20237176)
亀野 誠二 国立天文台, チリ観測所, 教授 (20270449)
杉谷 光司 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 教授 (80192615)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 星形成 / 星間磁場 / 高密度コア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、分子輝線のゼーマン観測により、星間雲の高密度領域にあるコアの力学進化における磁場の役割を解明することである。そのために、野辺山宇宙電波観測所にある45m電波望遠鏡用の30-50GHz帯の新受信機を台湾中央研究院ASIAAと共同で開発することが目標の一つであった。開発は当初計画よりも多少の遅れは発生したが、光学系のシミュレーション結果をもとに、デュワーの設計を進めた。受信機で使用するコールドヘッドなどの必要部品を一部、日本から台湾に送り、台湾での動作テストを完了した。 また、野辺山宇宙電波観測所の将来計画の変更に対応するため、台湾側の開発チームとサイエンスチームと密に連絡を取り、本計画全体がスムーズに進むよう、計画の再検討を行った。 これらの活動と同時に、既存の受信機で取得した45GHzのCCS分子輝線のゼーマン観測の結果の解析を進めた。この解析の中で、当初コントロール分子として、ゼーマン分裂を示さない45GHzのHC3Nのメイン成分を使用することにしていたが、メイン成分は3つのハイパーファイン成分からなり、視線方向に複数の成分が存在している輝線に対しては、それぞれの成分に対しての速度勾配の寄与も異なり、人工的なゼーマンパターンが出る可能性があることがわかり、検証には、サテライトラインを使用することがよいことを見出し、TMC-1のデータでその検証を行った。その結果を投稿論文として準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
受信機を搭載する予定の野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡の将来の科学運用に関する方針の変更を受け、本計画の遂行に関しても変更する必要がでた。そのため、開発を続ける前に、野辺山望遠鏡の科学運用終了後も新受信機を使えるように、他のサイトに移設するなどの案も含め、大幅に計画の見直しを行った。最終的に、まずは計画通り、野辺山45m電波望遠鏡に搭載することになったが、他サイトへ移設する可能性にも対応するよう、一部設計の修正を行った。これらの作業に時間を要したため、受信機開発のスケジュールに遅れが出た。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、新受信機の開発を完了させる。その後秋~冬に野辺山45m電波望遠鏡に搭載する計画を進め、搭載した新受信機を使って試験観測を行う予定である。また、既存受信機Z45で取得したCCS分子輝線のゼーマン観測のデータを使った投稿論文をまとめる予定である。
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