研究課題
南極大陸のドームふじ基地で掘削された氷床コアは、紫外線とγ線の望遠鏡で過去72万年(現時点)観測したのと同等な、太陽活動と天の川銀河系内超新星爆発の情報を提供し得る。過去80-150万年に相当する深度到達を目指した進行中の新ドームふじ氷床コア掘削計画も視野に入れ、太陽活動と銀河系内超新星爆発の歴史を解明するため、天文学とレーザー工学分野とで連携し、世界初の「超高分解能アイスコアレーザー溶融サンプリング装置」を開発した。この新開発の装置により、ドームふじ氷床コアに対して2-3ミリの空間分解能で離散的な自動サンプリングが初めて可能になった。特に、連続した微量の試料間のクロスコンタミネーションが起きていないことは、確認済みである。レーザー溶融法をアイスコアサンプリングに応用したのは世界初であり、本装置により、従来のレーザーアブレーション(蒸発)法では原理的に不可能であった、硫酸イオンや硝酸イオンなどを含む分子型イオン及び水同位体比の分析が初めて可能になった。水同位体とは、気温の指標である、水の酸素・水素安定同位体のことで、気候変動研究の基本的プロキシである。この新開発装置を適用すれば、これまで数年がかりであった-30℃の低温室下での人的手作業でのサンプリング作業が、全自動で約30作業日に短縮され、分析も可能な見通しとなった。さらに、既に取得済みのドームふじ氷床コアの西暦1600年から1900年についての硝酸イオン濃度のデータ解析から、太陽活動周期と考えられる、11年, 22年, 約90年の3つの周期を世界で初めて同時検出した。これは、ドームふじアイスコア中の硝酸イオン濃度プロファイルが、知られている氷床コアの中では唯一、過去の11年周期の太陽活動の指標になり得ることを示しており、気候変動や周期振動を逆利用した深層コアの年代決定などへの今後の応用も期待できる成果となった。
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