研究課題/領域番号 |
17H01127
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
紀井 俊輝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (30314280)
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研究分担者 |
富田 優 公益財団法人鉄道総合技術研究所, 研究開発推進部, 担当部長 (40462915)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アンジュレータ / 超伝導応用 |
研究実績の概要 |
導入した6Tソレノイドの磁場均一度の評価を実施した。今後の研究遂行に十分な均一度が得られており、超伝導体試験片固有の超伝導特性の差異による影響の評価やアンジュレータ端部における精密な磁場補正法の確立に必要な精度であることを確認できた。これらの成果については、国際会議等で発表を行った。国際会議では、アンジュレータ研究者との議論を開始する新たなきっかけとすることができた。実際の放射光施設への導入計画について議論を深め、2020年度から研究協力を進める計画について検討を進めた。 磁場生成試験に関しては、年度の後半にソレノイドの真空トラブルにより励磁不能な機関が長期間生じたため、十分な計測を進めることができなかった。 数値計算に関しては、有限要素法によるアンジュレータ磁場分布の予測計算を進めた。メッシュサイズと計算リソース(メモリ・CPU)の問題は非常に厳しい状況であるが、メモリ増強を行うことで実スケールに比べるとかなり小規模ではあるものの、端部から中心部にかけての磁場分布を定量的に計算ができることを示せた。ただし、実験での到達目標である高精度な予測には現在のスパコンをもってしても達成しうるものではないので、有限要素法については周期構造部の磁場分布推定への利用に限定して活用することが妥当であると結論付けた。 超伝導体試験片については複数の素材を出発原料として高精度な加工が可能な試験片の作成を進めた。磁場測定のための複数の試験片を合成・加工し、アンジュレータ磁場分布計測の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年11月に超伝導ソレノイドの真空断熱層の真空レベルが大幅に悪化し大気中の水分および窒素が内部に結露したことで、3月まで励磁ができない状況が続いたため十分な磁場計測実験を進めることができなかった。 磁場計測実験での遅れによる影響を最小限とするため、有限要素法による計算能力を増強しより細かいメッシュによる計算ができるように準備を進めた。 総合的に判断するとやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ソレノイドへの励磁が可能になったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために実験研究に制約が出始めている。本研究では繰り返しの計測と微調整が必要であると予測しており、研究活動の制約により、最終目標としている磁場精度が達成できない可能性がある。 その場合においても、数値計算によるモデリングを可能な限り進めることで限られたデータからアンジュレータ実現に向けた磁場精度達成に向けた指針を確立することを目標とする。 また、海外の放射光施設の研究者との意見交換を進め、実際の放射光施設への導入に向けた技術的な分析および課題を明確にするようなデータ取得・分析を行う。
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