2020年度では引き合続き6テスラソレノイドの磁場均一度の評価を実施し、今後の研究遂行に十分な均一度が得られてることを確認した。これらの成果について国際会議等で発表を行い、各国のアンジュレータ研究者との議論を開始する新たなきっかけとすることができた。実際の放射光施設への導入計画について議論を深め、2020年度から国際協力について協議を進めた。2021年度には具体的な共同研究のための交渉を進め、2022年3月にはスイスとの国際共同研究契約の締結に至った。 超伝導体試験片については複数の素材を出発原料として高精度な加工が可能な試験片の作成を進めた。アンジュレータ磁場測定のために半円状に機械加工を行い、その後手作業による追加工によりアレイ構築を行った。 磁場生成試験に関しては、2020年度後半にソレノイドの真空トラブルにより励磁不能となり、十分な計測を進めることができなかったが、3週間程度の真空排気期間を間に挟むことで計測可能な機会は限定されるものの磁場計測が可能であることが判明し、2021年度にMgB2アレイを用いて複数回のアンジュレータ磁場計測を実施し、希土類銅酸化物超伝導体アレイよりピーク磁場強度がそろった周期交替磁場が生成できることを実証できた。 数値計算に関しては、有限要素法によるアンジュレータ磁場分布の予測計算を進めた。メッシュサイズと計算リソース(メモリ・CPU)の問題は依然として非常に厳しい状況であり、精度は不十分である者の端部から中心部にかけての磁場分布を定量的に計算ができることを示せた。ただし、実験での到達目標である高精度な予測に関しては、現状の有限要素法では制度が不十分であり、端部の影響が出にくい中央付近の磁場分布推定への利用限定して活用することが妥当であると結論付けた。
|