研究実績の概要 |
2021年度は第4期国際重力波共同観測(O4, 2022年12月頃開始予定)へ向け、本研究で開発したKAGRA用PCAL(X-end、Y-end用の2台)の性能評価を実施した。 第3期観測O3ではPCALのノイズが大きくO4での目標感度を汚してしまうものであったが、2020年度にノイズの特定と改良を実施し、2021年度はその評価を行った。この結果、X-, Y-PCALともにノイズレベルが約2桁低減し、X-PCALについては全帯域でKAGRAのデザイン感度を下回った。Y-PCALについては10-100Hz帯でKAGRAのデザイン感度をやや上回ってしまったが、O4で目標とする感度より約1桁小さい事を確認した。 次に、PCALの精度に影響を与えるPCALビームの照射効率について評価を行った。最終的なPCALビームのアラインメントを実施後にレーザー出射側と鏡から戻って来たレーザーの受光側での光学ロスを測定したところ、X-PCALで6%、Y-PCALで3%であり、それぞれのPCAL較正精度への寄与は2%、1%であった。O4におけるPCALでの較正目標精度は3%であるため、O4での必要な精度を達成することができた。 最後に、富山大ではLIGOの標準光検出器(積分球)のコピーを用いてPCALレーザーパワーの絶対値較正を継続した。これまでの研究からレーザーパワー測定装置の熱的安定性やレーザー入射角などが影響することが分かっており、高精度かつ再現性のある計測をするための手順をまとめた。これらの研究は富山大学生の修士論文や卒業論文にまとめられた。 以上のように、Y-PCALの更なるノイズ低減は今後の課題として残るものの、X-,Y-PCALともにO4での目標精度を達成出来ることが確認でき、また、レーザーパワー絶対値の較正手法も確立するなど、本研究の目標を達成することが出来た。
|