研究課題
本研究の最終目的は、国際共同研究計画GAPS(General Anti-Particle Spectrometer)を実現し、宇宙線反粒子の高感度観測によるダークマター探索を推進することである。ダークマターの解明は現在の宇宙物理学の最重要課題の一つである。未発見の宇宙線反粒子である反重陽子は、超対称性粒子ニュートラリーノなどのダークマター有力候補の対消滅などを起源として存在する可能性があり、しかも低エネルギー領域にて二次起源成分(既知の物理学起源)の影響を殆ど受けずに単独で観測できる可能性がある。GAPSは、その反重陽子をかつてない高感度で探索・観測することを計画している。これによりGAPSは、ダークマターの多角的な研究において他実験とは相補的かつ独自の一翼を担うことができる。2021年度は、それまでの研究成果を踏まえ、南極周回気球飛翔観測に向けたGAPS測定器の実機の開発を進めた。とりわけ、日本チームの担当分として、GAPS測定器の中核を担うリチウムドリフト型シリコン(Si(Li))検出器や、Si(Li)検出器の冷却のためにOHP(自励振動ヒートパイプ)という先進的な熱工学技術を独自に発展させて開発している冷却システムに関して、米伊の研究協力者からの支援も得ながら、開発製作を進めた。コロナ禍の影響により観測そのものは実施できていないものの、検出器アレイのスケールモデルによる動作実証を完了するとともに、実機飛翔用および地上試験用の冷却システムの開発製作も完了した。また、観測後のデータ解析を見据え、GEANT数値シミュレーションコードに機械学習を融合した実践的な粒子識別手法の開発も進めた。得られた成果は学会や学術論文で発表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
Astroparticle Physics
巻: 130 ページ: 102580_1~7
10.1016/j.astropartphys.2021.102580
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 997 ページ: 165015_1~10
10.1016/j.nima.2020.165015
https://gaps.isas.jaxa.jp/