研究課題/領域番号 |
17H01140
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 英典 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40187935)
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研究分担者 |
平岡 奈緒香 (太田奈緒香) 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40758827)
北川 健太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 講師 (90567661)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 量子スピン液体 / Kitaev模型 / 量子磁性 / Ir酸化物 |
研究成果の概要 |
新奇量子スピン液体の実現は凝縮系物理の最も挑戦的な課題の一つである。特にKitaevが理論的に見出したハニカム格子上の量子スピン液体は、遍歴・局在二種類のマヨラナ粒子からなる厳密解として得られたために、多くの研究者の興味を惹き、現実物質での発現が強く望まれてきた。Kitaev量子スピン液体が期待されるハニカム格子酸化物H3LiIr2O6において相互作用するスピン軌道複合Jeff=1/2モーメントが極低温まで磁気秩序、すなわち自発的対称性の破れを示さないことを発見し、量子スピン液体が実現していると結論した。
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自由記述の分野 |
物性物理学(実験)
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Kitaevの理論模型に触発された量子スピン液体状態の実験的探索は世界的規模で研究が進んでいる。その舞台として当初提案された他のIr酸化物やRu塩化物では、いずれも量子スピン液体ではなく長距離磁気秩序の発現が観測されている。現実の物質での実現は不可能であるとも言われた。そのような状況の中でH3LiIr2O6に実験的に量子スピン液体の存在が確認されたことの意義は極めて大きい。さらに、この発見が液体状態発現の微視的起源、特にKitaev相互作用の役割や水素の役割など、新たな極めて挑戦的課題を投げかけていることも強調されるべきである。
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