研究課題
スピン1/2三角格子Heisenberg的反強磁性体 (TLHAF) とIsing的な蜂の巣格子反強磁性体の2つのサブシステム (A, B) からなる磁性体Ba2CoTeO6の磁気励起の解析を行い,両サブシステムは磁気的に殆ど完全に分離していることを確認した。また,蜂の巣格子反強磁性体であるサブシステム Bのスペクトルをスピン波理論で再現し,交換相互作用の詳細を明らかにした。更に,スピン1/2 TLHAFであるサブシステムAの磁気励起スペクトルがススピン1/2 TLHAFのモデル物質の1つであるBa3CoSb2O9の磁気励起スペクトルを殆ど同じである事から,これらで見られた磁気励起スペクトルがスピン1/2 TLHAFに普遍的である事を示した。スピン1/2の籠目格子Heisenberg的反強磁性体 (KLHAF) Cs2Cu3SnF12の磁気励起の詳しい解析を行った。4つ単一マグノン励起の存在を確認した。スピノン励起に基づく理論との比較から,3つが横モードで1つが縦モードであると考えられる。また,強度の波数依存性が殆どない連続励起が低エネルギーから高エネルギーまで続いていることを確認し,高エネルギー端がスピノン励起に基づく理論と一致する事を見出した。更に,格子歪みのために基底状態がsinglet状態であるRb2Cu3SnF12の高エネルギー磁気励起にも同じ特徴がある事を確認し,観測された高エネルギー連続励起の特徴はスピン1/2KLHAFに普遍的である事を示した。京都大学と東京大学のグループと共同でKitaevモデルの候補物質であるα-RuCl3の熱ホール効果と磁場中比熱測定の磁場角度依存性を詳細に測定し,蜂の巣格子面内の磁場方向に変化によるトポロジカル相転移とそれに伴う熱ホール係数の量子化の符号変化と観測した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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