研究課題
確率過程における「連続的時間反転」にもとづく定式化をすすめ、相関をとりいれた不確定性関係の拡張を行った。これは時間の対称性にもとづくエントロピー生成の理解について大きな進展を与えるものであり、また、実際の実験データを解析する上でも重要な結果を与える。この成果は、Phys. Rev. X に掲載された。量子力学系の記述において古典カオスが創発する問題については、2021年度にやっと論文として公開することができた。量子力学におけるミクロとマクロのエンタングルメントが古典カオスにおけるカオスを特徴づけるという結果はエントロピーの階層を考えるうえで基本的なものである。熱力学エントロピーを変分原理と熱力学関係式によって特徴づけられることを踏まえて、熱伝導下共存状態にエントロピーを拡張する論文を公開した。適切な条件下で拡張が一意であることが示せたのみならず、拡張されたエントロピーは非相加的寄与を持つころが分かった。ホーキング温度の熱浴中で可逆的に形成された球対称物体を考え、その内部を記述する計量を半古典的アインシュタイン方程式の解として得た。それはホライズンを持たないが、Hawking-like radiationをする高密度物体を表し、面積に比例するエントロピーを持つ。これは「極限的に強い重力場中における物体の相=ブラックホール」を示唆しており、重力系一般の持つエントロピーを対称性から探求する際の非自明かつ重要な具体的な土台を与えていると期待される。ダイナミクスの階層を理解するために、Karder-Parisi-Zhang方程式がつくる巨視的なパタンを記述する理論を模索した。巨視的なパタンが外力によってつくられる場合、そのパタンを特徴づける「有効パラメータ」を場のゆらぎの相関によって決める公式を見出した。この結果は、現在、論文としてまとめている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
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