研究課題
国立天文台ハワイ観測所岡山分室(以下、岡山観測所という)188cm望遠鏡クーデ室にインストールしたドップラー振動撮像装置の性能を再評価し、インターフェース部分を改良し、撮像感度を向上した。2019年5月に光路設定等を再度行い、木星観測を2夜実施した。一方、フランス Calern Observatory とアメリカ Dunn Solar Observatory にすでに設置してある撮像装置を用いて撮ったデータを解析した結果、従来の雲の平均的な動きを追う手法と異なり、雲粒子の動きを追う我々の観測手法では、帯状風の風速の緯度分布の違いが見られた(Goncalves et al. 2019)。これは、この手法の重要性を明確に示している。理論面では、形成期のエンベロープへの重元素混入プロセスの検討を続けた。特に、10-100kmサイズの微惑星か小石サイズのペブルのどちらが系外惑星の観測から示唆される重元素量と整合的かを、それらの集積率の経験式を組み合わせて検討した。その結果、微惑星集積の方がより系外惑星の観測の傾向を説明できることが示された (Hasegawa et al. 2018)。一方、微惑星集積は、惑星の重力圏の広がりが原因で生じ、木星のガス獲得過程も重要となる。これまではガス獲得過程を制約する観測がなかったが、近年、ガス集積中の若い巨大ガス惑星が検出されはじめた。そうした観測と比較してガス集積理論を検証するために必要な輻射流体モデルを開発した (Aoyama et al. 2018)。
3: やや遅れている
開発中のドップラー振動撮像装置の性能評価を行う過程で、当初の予測に反し、従来よりも大型の188cm望遠鏡と撮像装置とのインターフェースが複雑であるため、撮像の感度が惑星大気振動測定を行うには不十分であると判明し、ドップラー振動撮像装置の性能の再評価を行う必要が生じた。再評価の結果、新たな接合技術の開発も必要となった。
当初は、2018年度は岡山観測所から観測を行い、2019年度は石垣天文台に装置を移動して観測を行う予定であった。しかし、望遠鏡固有のインターフェースの開発が想定外に困難であったことが判明したため、石垣天文台に装置を移さずに、2019年度も引き続き岡山観測所でネットワーク観測を行うように予定を変更する。2019年度は、6月に約2週間、フランス Calern Observatory とアメリカ Dunn Solar Observatory の3地点で同日観測を実行する予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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