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2017 年度 実績報告書

最終間氷期の突然かつ急激な南極氷床崩壊イベントの検証とメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17H01166
研究機関北海道大学

研究代表者

関 宰  北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)

研究分担者 堀川 恵司  富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (40467858)
山本 正伸  北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (60332475)
菅沼 悠介  国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70431898)
池原 実  高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (90335919)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード南極氷床 / 過去の温暖期 / 最終間氷期 / 海水準
研究実績の概要

本研究は、現在よりも僅かに温暖であった最終間氷期において南極氷床の大規模な融解が起こっていたのかどうか?起こっていたとしたらどの地域の氷床が崩壊したのか?を検証するとともに、南極氷床の大規模な融解を引き起こすメカニズムの解明を目的としている。初年度はすでに掘削されている南極周辺の海底堆積物コアの検索と入手および新たな堆積物コアの掘削に従事した。まず、ODP保管庫に保管されている堆積物コアで南極周辺のサイトを検索した。さらに、その中から最終間氷期が含まれており堆積速度が比較的高い試料を選定し、テキサスの保管庫に資料のリクエストおこなった。したが、それらの試料は最終間氷期の層準の大部分がすでに使用され、ほとんど残っていないことがわかった。次に日本の石油公団によって80年代から90年代にかけて南極周辺の海域で掘削した堆積物コアを検索した結果、産業総合技術研究所に試料が保管されていることをつきとめた。産業総合技術研究所にて実際の試料を見学した上で、本研究の目的に適した試料を選定し、堆積物コアのサンプリングを行った。その結果、東南極周辺の4サイトで堆積物コアを得た。得られた試料のうち、最も堆積速度が高いサイトの脂質化合物の分析を行い、ダストの指標となる陸起源バイオマーカーを測定したところ、氷期に陸起源バイオマーカー濃度が高い結果が得られ、陸起源バイオマーカーの分析により堆積物コアの年代を制約できる可能性が示された。
また、2018年1月から2月にかけて国際深海科学掘削計画(IODP)に参加し、ロス海にて堆積物コアの掘削に従事した。その結果、5地点において中新世、鮮新世および更新世を含む海底堆積物コアの掘削に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は南極周辺の海底堆積物コアを獲得することが目標であったが、東南極周辺の海域にて計4サイトの堆積物コアを入手できた上に、ロス海において5サイトで過去の温暖期を含んだ堆積物コアの掘削に成功しており、予定通り順調に計画が進んた。

今後の研究の推進方策

初年度で入手した東南極周辺の堆積物コアの各種分析に着手する。特に次年度は堆積物コアの年代制約に力を入れる予定である。具体的にはXRF、陸上起源アルカン、放散虫の分析により、最終間氷期を含む過去30万年間の氷期ー間氷期サイクルの特定をおこなう。
また、今回入手した堆積物試料を精査した結果、当初の分析を予定していた有孔虫がほとんど含まれていないことが判明した。そのため、有孔虫の各種分析は断念する。それに変わる分析として、氷山の起源プロキシであるNdの測定に方針を変更することとした。分担者の堀川はNd分析の専門家であり、現体制で十分対応可能である。
古環境復元に関してはTEX86古水温指標を分析し、過去の水温変動の復元を行う予定である。また、氷山プロキシ(IBRD)及び氷山起源プロキシ(Nd)の分析にも着手し、最終間氷期に大規模な崩壊イベントが起こっていたのかどうか、起こっていたとしたらどの部分の氷床が溶けたのか、そまた、その時の水温がどの程度上昇したのかを明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] ビクトリア大学・南極研究センター(ニュージーランド)

    • 国名
      ニュージーランド
    • 外国機関名
      ビクトリア大学・南極研究センター
  • [国際共同研究] インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      インペリアル・カレッジ・ロンドン
  • [雑誌論文] 全球気候変動を駆動する南大洋海洋循環2018

    • 著者名/発表者名
      池原実
    • 雑誌名

      低温科学第76巻

      巻: 76 ページ: 121-134

    • DOI

      10.14943/lowtemsci.76.121

  • [雑誌論文] 最終間氷期の南極氷床崩壊と海水準上昇2018

    • 著者名/発表者名
      関宰
    • 雑誌名

      低温科学第76巻

      巻: 76 ページ: 135-144

    • DOI

      10.14943/lowtemsci.76.135

  • [学会発表] 最終間氷期の突然かつ急激な南極氷床崩壊イベントの検証とメカニズムの解明に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      関宰
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 南極氷床と気候の変動及び相互作用に関する研究展望2017

    • 著者名/発表者名
      川村 賢二、杉山 慎、植村 立、本山 秀明、澤柿 教伸、飯塚 芳徳、堀内 一穂、青木 周司、東 久美子、藤田 秀二、関 宰、平林 幹啓、大藪 幾美
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-03-29  

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